経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は例年100%を超えており良好な値といえる。また、②累積欠損金は発生していないことから経営の健全性はある程度保たれている。しかし、総収益のうち使用料収入が占める割合は10.2%にとどまっており、収益の大部分を一般会計からの繰入金をはじめとした使用料以外の収入で賄っている現状である。③流動比率は、100%を超えており良好な値となっている。④H26に比率が急激に上昇した理由は、最大限見込んでいた一般会計が負担する額を最小限度の見込みに改めたことによるものである。企業債の償還に伴い、当比率は今後も低下傾向が続く見込みである。⑤⑥汚水処理に係る資本費の減少により、経費回収率、汚水処理原価ともに前年度に比べて改善したものの、基準となる100%を依然として大きく下回っていることから、施設の効率化や維持管理経費の抑制が必要である。28年度に使用料改定を行ったことから、次年度以降は使用料水準の適正化が図られる見込みである。⑧水洗化率は100%を達成している。
老朽化の状況について
①減価償却累計率は上昇傾向にあるものの、供用開始から17年程しか経過していないため、全国平均、類似団体平均と比較しても低位である。②法定耐用年数を超える管渠はない。
全体総括
本事業は、対象人口81名の小規模な事業であることから、使用料収入だけでは維持管理費や資本費を賄うことができない状況にある。28年度に料金改定を実施したことにより増収が見込まれるものの、一般会計からの繰入金や公共下水道事業との一体的な運営が前提となっている。施設の状況については、現在のところ老朽化が進んでいるとは言えないものの、今後、経年化の状況や地域の将来像を踏まえながら、統廃合やダウンサイジングによる効率的な施設管理を検討する必要がある。本市では29年度から10年間を計画期間とする「鳥取市下水道等事業経営戦略」の策定を進めているところであり、この中に定めた各種目標の達成を通じて、経営の健全化や施設の効率的な管理、機能の維持に取組んでいく。