経営の健全性・効率性について
これまで行ってきた普及促進事業の拡大により生じた歳入額と歳出額の大きな差を補うため一般会計からの繰入金を投入してきた。近年は事業の健全化の取組みにより収支差は大幅に減少し収支均衡に近い状態となり平成26年度末において、累積赤字を解消した。令和元年度末においても、黒字を継続している。令和元年度より企業会計を導入したため、以前の数値は0となっている。人口が減少傾向にあり、節水機器の普及により料金収入が減少傾向ではあるものの、他団体よりも先行して行った高度成長期の下水道整備により、借入を行った企業債の償還が終了を迎えつつあり元利償還が減額傾向にある。このため、①経常収支比率は類似団体平均値よりも10%多くなっている。流動負債の減額で➂流動比率が19%高くなっている。④企業債残高対事業規模比率も380%低くなっている。収入は減っているものの、資本費の減額で、汚水処理費が減少しており、➄経費回収率は33%高くなっており、⑥汚水処理原価は15円低くなっている。市内に下水処理場を保有しないため、➆施設利用率は0%となっている。
老朽化の状況について
令和元年度より企業会計を導入し、減価償却を開始したため、固定資産額に比して減価償却累計額が低くなっており、①有形固定資産減価償却率は類似団体平均値より低くなっている。他団体よりも先行して下水道の整備を行っていたため、➁管渠老朽化率が類似団体平均値の倍となっている。老朽化が進んでいることから令和元年度に策定したストックマネジメント計画に基づき、管渠の改築更新を進めており、➂管渠の改善率は類似団体平均値より0.09%高くなっている。令和元年度末で市内における管渠延長は約203㎞となり、昭和43年の事業着手時期に布設された管渠が50年を超えており、今後は施設の本格的な老朽化による更新が順次発生することが見込まれる。その財源として企業債の計画的な発行が必要となることが考えられる。
全体総括
近年の実質収支は黒字であるが、人口減少等により今後においては、下水道使用料等の増収の見込みが厳しいことが予見される。また、施設の老朽化に伴い維持管理費や長寿命化対策費が大幅に増大することが見込まれており、ストックマネジメント計画に基づき、適切な施設の点検、調査、管路の改築及び更新を図っていく。更に老朽化による業務量の増大が見込まれるなか、業務の効率化、包括的民間委託や公的機関の補完組織活用による事業運営の強化を図る。令和元年度より、公営企業会計として、事業運営を実施している。また、中長期的な経営分析による経営戦略を令和2年度に策定し、適切な事業運営に努める。