経営の健全性・効率性について
・健全性これまで行ってきた普及促進事業の拡大により生じた歳入額と歳出額の大きな差を補うため一般会計からの繰入金を投入してきた。近年は事業の健全化の取組みにより収支差は大幅に減少し収支均衡に近い状態となり平成26年度末において、累積赤字を解消した。平成30年度末においても、実質収支は昨年度と同様に黒字である。歳入については、使用料収入が約60~70%を占めるなか、人口減少や節水器具の普及により減少傾向にあるものの、平成27年度から平成29年度においては①収益的収支比率が増加してきたが平成30年度は、一般会計繰入金の減少等の影響により、7%程度低下している。また、昨年度と比べ、汚水処理費が減少しており、それに伴い、⑥汚水処理原価が低下している。さらに、汚水処理原価が低下しているにもかかわらず、⑦経費回収率が昨年度と比べ、低下しているのは、汚水処理費の減少率よりも、使用料収入の減少率が大きいためである。歳出については、H19・22・23年度において国の補償金免除繰上償還制度の適用を受けて償還利子の軽減を図り企業債残高も減少してきた。④企業債残高対事業規模比率は、平成28年度に若干の増加が見られたが、平成29年度は、再び減少に転じている。また、平成30年度は、使用料収入の減少により、営業収益が減少したことから、平成29年度と比べ、わずかに増加した。経年では、類似団体平均値より低い水準を維持している。・効率性平成30年度末で人口普及率95.88%水洗化率98.18%となり事業としては概成してきており、近年は工事費用に対する整備人口・整備面積や使用料収入等の投資効果の低下がみられる。また、寝屋川北部流域下水道及び淀川左岸流域下水道という2つの流域下水道に接続しており、特に淀川左岸流域下水道は二市で構成されているため管理運営費の負担も大きく、汚水処理原価が類似団体平均値よりも高くなる傾向にある。なお、⑦施設利用率については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上してない。
老朽化の状況について
・老朽化状況平成22~26年度の長寿命化計画期間で実施した改築工事により平成26・27年度において、類似団体平均値を超える管渠改善率となった。なお、平成30年度における管渠改善率は、昨年度と比べわずかながら低下しているが、類似団体平均値を超える管渠改善率を達成している。今後も、平成27年度より策定した長寿命化計画及び令和元年度に策定したストックマネジメント計画に基づき、管渠改善率の向上を目指す。平成30年度末で市内における管渠延長は約201㎞となり、昭和43年の事業着手時期に布設された管渠が50年を超えており、今後は施設の本格的な老朽化による更新が順次発生することが見込まれる。その財源として企業債の計画的な発行が必要となることが考えられる。
全体総括
・全体総括近年の実質収支は黒字であるが、人口減少等により今後においては、下水道使用料等の増収の見込みが厳しいことが予見される。また、施設の老朽化に伴い維持管理費や長寿命化対策費が大幅に増大することが見込まれており、適切な施設の点検、調査及びデータ管理が求められるため、施設管理台帳等のデータベース化を順次すすめている。更に老朽化による業務量の増大が見込まれるなか、業務の効率化、包括的民間委託や公的機関の補完組織活用による事業運営の強化を図る。また、平成28年度から平成30年度末にかけて地方公営企業法の適用に向けて準備を進め、令和元年度より、公営企業会計として、事業運営を実施している。また、中長期的な経営分析による経営戦略を令和2年度中に策定し、適切な事業運営に努める。