経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率での比較では類似団体とほぼ同じ水準の105.58%で、現状では比較的経営は安定していると思われる。⑧の水洗化率での比較では、本市の水洗化率は98%を超えており、類似団体の89.96%を上回っている。本市の水洗化率の高さは、新たに大規模な管渠の整備費用が発生しないかわりに、下水道使用料の大幅な増加も見込めないことを表している。⑤の経費回収率での比較では、類似団体の89.95%を上回る107.86%の数値を示しており、⑥の汚水処理原価での比較では当市の汚水処理原価が114.69円と類似団体の150.88円を下回っていることから、この汚水処理原価の低さが類似団体よりも良い経費回収率につながっていると考えられる。
老朽化の状況について
②の管渠老朽化率及び③の管渠改善率の比較では、類似団体の数値がほぼ0%であり、本市の数値も0%である。管渠の耐用年数が50年とされていることから、供用開始後30年未満の類似団体(Bb2)で比較しているためである。また、本市の管渠整備の大部分は平成3年度以降で管渠が比較的新しく、最古のものでは40年経過しているものもあるが、調査の結果、まだ更新が必要ではないとされ、現時点においては早急な管渠の更新の必要性が少ない。しかし、管渠以外の処理場、ポンプ場については更新時期を迎えており、現在は部分的な更新を行っている。なお、老朽化した処理場については、処理区統合を行い、流域下水で下水処理を行うことにしているため、必要な管渠等の整備が整いしだい廃止する。
全体総括
平成27年10月に大型商業施設が開業し、下水道使用料は増えたが、このまま人口の減少が継続すれば、有収水量も減少していき、経営が厳しくなると考えられる。一方では、管渠の整備事業の大部分が平成3年度から平成13年度の間であったことから、更新時期が集中しないよう、起債の償還額が減る平成40年度以降をめどに、管渠の更新を順次実施していく必要があり、平成28年度に策定した経営戦略においても、10年以内に、長寿命化・耐震化計画を策定する旨明記している。