経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業の経営状況を表す指標について、汚水処理原価が類似団体平均値より高額となっている。主な要因は、市域が狭小であるため工事に伴う移設費用が高額となっていることが考えられる。平成30年度決算は、平成31年度の地方公営企業法適用に伴う打切り決算であり、収支の一部を翌年度の特例的収入または支出として計上した。このため、収益的収支比率については例年と比べ、高くなっている。一方で経費回収率は低くなっており、十分な使用料収入が確保できていない状態が継続している。使用料収入増加のためには、整備事業を推進し、普及率の増加に努めると同時に、水洗化率を向上させ、下水道の利用率を高めることが重要である。このため本市では水洗便所改造助成、水洗化にかかる工事費の融資斡旋、再任用職員による啓発活動等に取り組み水洗化促進に努めているものの、水洗化率は類似団体平均値より低い数値で推移しており、水洗化促進の方策について更なる取り組みが必要であると考えられる。なお、本市は独自の下水処理施設を持たないため、施設利用率の表は空欄となっている。
老朽化の状況について
現在のところ本市では、法定耐用年数50年に達した管渠は存在せず、特に劣化した管渠の修繕のみを実施している。このため、管渠改善率はほぼ0%で推移している。一方、小山雨水ポンプ場については供用開始後30年、北條雨水ポンプ場については供用開始後19年が経過し、機械設備等を順次更新している。
全体総括
本市では下水道事業を安定的で持続可能なものとするため平成30年度に経営戦略を策定し、平成31年度に地方公営企業法を適用した。今後は施設の老朽化による維持管理費の増加が見込まれる一方で、財源となる下水道使用料や雨水処理負担金は限られており、これまで以上に効率的な経営が求められている。将来にわたり下水道サービスを安定的・持続的に提供するには、使用料収入をもって維持管理を行う、健全な経営基盤の確保が不可欠である。このため、下水道の早期概成による普及率の向上、ストックマネジメントの実施、適正な料金設定及び水洗化促進による収入確保等に取り組み更なる経営の健全化を図る必要がある。