経営の健全性・効率性について
平成28年度に公営企業法適用(一部適用)後、5回目の決算である。令和元年度と比較すると、①経常収支比率は営業外収益のうち他会計負担金(分流に要する経費)が減少したことにより2.29ポイント減少し、②累積欠損金比率は150.68ポイント増加した。また、③流動比率は0.11ポイント増加しているが、これは手元資金の増加及び企業債が減少したためである。④企業債残高対事業規模比率は、平成29年度から元金償還が始まったため216.13ポイント減少した。類似団体平均値と比較すると、①経常収支比率は低く、②累積欠損金比率及び④企業債残高対事業規模比率は高い。本市の特定地域生活排水処理事業は、山間部に対する公共下水道事業の補完事業として整備しており、公共下水道事業と併せて高槻市下水道等事業会計として経理処理を行っている。なお、①経常収支比率が低いのは、公共下水道と違い償却資産の耐用年数が28年と償却負担が公共下水道より大きくなっているためであるが、高槻市下水道等事業会計全体としては経常収支比率は106.05%となり、単年度収支は黒字である。また、②累積欠損金比率が高くなっているが、高槻市下水道等事業会計全体としては累積欠損金が生じることはなく特段問題はない。そして、④企業債残高対事業規模比率が高い要因は、償還開始から3年しか経過しておらず、類似団体と比較して企業債償還が進んでいないためである。
老朽化の状況について
平成24年度から開始された事業のため、健全な状態である。なお、①有形固定資産減価償却率が上昇しているのは、新規の有形固定資産がない一方、減価償却費は昨年度と同額を計上したためである。
全体総括
本事業は「高槻市循環型社会形成推進地域計画(H24~H28)」に基づき事業を実施し、平成28年度で計画対象地域内の希望世帯に対する公設浄化槽設置は完了し、事業としては概成した。類似団体平均値よりも高い④企業債残高対事業規模比率については、企業債残高が年々減少することにより、今後改善する見込みである。①経常収支比率や⑤経費回収率が類似団体平均値よりも低いことから経営改善を行う必要があるが、収入面においては料金体系が人槽別に設定されており、事業も概成しているため今後の使用料増収は見込めない。そのため、維持管理業務の発注方法や仕様の検討を行うなど支出面の縮小に努める。また、平成29年度より「高槻市下水道等事業経営計画」(経営戦略)に基づき、効率的で持続可能な下水道事業経営に取り組んでいる。