経営の健全性・効率性について
平成29年度は、地方公営企業法適用の初年度であり、会計制度が変更になったため、前年度までとの比較ができません。①の経常収支比率は、100%を上回っており、今後も健全経営に努めます。③の流動比率は、35.91%と低くなっていますが、企業債を含んだ数値となっています。④の企業債残高対事業費規模比率は、建設当初から多額の借入れを行ってきたことから類似団体平均、全国平均を大幅に上回っています。これに伴い、⑥の汚水処理原価も同様に平均を上回っています。しかし、償還のピークを迎えていることから、今後は緩やかに下降すると見込んでいます。⑤の経費回収率は、85.05%と類似団体平均、全国平均を下回っており、経費削減に努めるほか、使用料の適正化を図っていきます。
老朽化の状況について
昭和54年度から供用開始し、徐々に老朽化が進んでいます。今後、建設ピークであった平成7年度ごろから平成18年度ごろの下水道施設が老朽化を迎えることから、可能な限り事業量を平準化しつつ改築更新を行っていきます。③の管渠改善率が平均より大幅に下回っているのは、現時点では耐用年数を超える施設がないためです。現在は、初期に埋設した下水道管等を中心に老朽化の調査を行い、損傷状況に応じた対策を実施しています。なお、①の有形固定資産減価償却率は、平成29年度から企業会計を導入したため、減価償却の実績がなく、低い数値となっています。
全体総括
本市は、下水道施設の整備を短期間で行ってきたことから、借入額が多額になり、企業債償還金は支出の約4割を占めていますが、平成32年度ごろをピークに減少傾向へ転じる見込みです。一方で、初期に埋設した管渠が耐用年数の50年に近づき、今後は、老朽化対策の修繕費など、使用料で賄うべき経費が増加する見込みです。維持管理計画及び財政計画の慎重な策定が経営の重要課題となっているため、現在、上下水道事業審議会において、「上下水道ビジョン(平成32年度~41年度まで。国の要請に基づく経営戦略を含む。)」の策定に係る審議が進められています。平成29年度から地方公営企業法を適用し、経営状況がより明確に把握できるようになることから、ビジョンの策定後は、公費負担と下水道使用料の適正化を定期的に見直し、安定経営を維持していきます。