経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率・企業債残高対事業規模比率平成28年度より地方債の償還元金(資本費)のうち「分流式下水道等に要する経費」について全額県が負担するものとして繰入金へ計上し、収益的収支が大幅に改善し企業債残高対事業規模比率はゼロとなった。しかし、流域下水道事業における「分流式下水道等に要する経費」については、県と市町村の間で適切な負担区分を決めるべきことから、平成32年度の法適化を見据え、関係市町村の間で負担区分を決めることが課題である。●汚水処理原価本県流域下水道は、地理的に急峻な地形に整備され、幹線管きょの延長も比較的長い一方で有収水量は大都市圏と比べ多くないことから、汚水処理原価は高くなる傾向にある。なお、平成28年度より汚水資本費の計上を「分流式下水道等に要する経費」に改めたため、汚水処理原価が大幅に減額となった。●施設利用率類似団体の平均値を下回っているが、近年は接続率の上昇等に伴い利用率は高まっている。また、平成23年の晴天時一日最大処理量による利用率は70%であり、処理水量の急激な増加にも対応した施設規模である。●水洗化率H24~H28までの現在処理区域内人口の上昇率は4.0ポイントに対し、水洗化率も4.1ポイントである。幹線管きょの整備はほぼ完了していることから、引き続き関連市町村と連携し更なる向上に取り組むことが必要である。
老朽化の状況について
本県の流域下水道は古いもので昭和61年に供用開始しており、平成30年3月で32年が経過するが、管渠の耐用年数は50年であることから、現時点では修繕箇所は少なく健全な状態と考える。ただし、定期点検の中で整備地域の地理的状況等から経過年数に関わらず劣化が進んだ箇所も散見されるため、その都度修繕等を実施しており、腐食対策工事等を行い長寿命化を図っているところである。今後も引き続き定期点検を着実に行い老朽化の状況を把握するとともに必要な修繕や更新を行っていく。
全体総括
今後到来する施設・設備の大量更新期に適切に対応しつつ経営の健全化を一層図り、将来にわたり下水道サービスを持続的かつ安定的に提供していくため、収支の改善と施設の有効活用の観点から次の点に重点的に取り組んでいく。・関係市町村と連携し下水道加入率の向上に一層努め、有収水量を確保していく。・下水道の維持管理に関して、下水道公社が行う包括的民間委託契約を推進し経費の節減を図っていく。・一般会計繰出基準に定められた経費のうち「分流式下水道等に要する経費」については「その経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるもの」について繰出が認められる主旨からして、県と関係市町村の間で適切な負担割合を決定することが必要である。・平成32年4月からの地方公営企業法適用(財務規程等)に向けた移行作業を確実に進める。