経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、毎年度100%を上回っている状況が続いており、平成30年度も101.53%であった。経営状況は健全な水準にあるといえる。地方債は元金残は、7,284千円となり、令和3年度に完済予定である。経費回収率も毎年度100%を上回り、類似団体平均と比較しても大きく上回っており、経営に必要な経費を料金で賄うことができている。一方、汚水処理原価は、類似団体平均と比較すれば下回ってはいるものの、緩やかな上昇傾向にある。これは大口利用となる民宿の減少や観光客の減少に伴い、有収水量が減少傾向にあることが要因の一つと考えられる。施設利用率は、過去5年間において同数(22.82%)で推移し、類似団体平均と比較すると低い水準にある。これは、処理区域内人口が減少していることなどによるものであり、今後、汚水処理需要動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営計画を検討する必要がある。水洗化率は100.0%と高く、投資の効率性が良く、使用料収入が高いことからも、効果的な経営が行われている要因の一つとなっている。
老朽化の状況について
地区に1つずつ、計2つの処理施設を抱えており、供用開始から30年以上経過している内浦地区の施設や釜谷地区排水処理場の施設は、機能診断の上で計画的に整備している。直近では、平成26年度に釜谷地区排水処理場の施設整備を行った。また、平成30年度より、内浦地区排水処理場の施設整備を進めている。機能診断・長寿命化計画を策定し、内浦排水処理場調査設計、当処理場改修・排水管路改修工事を開始した。令和3年度までに施設機能保全工事を完了予定である。
全体総括
粟島浦村は、現在処理区域内人口328人で、有収水量密度3.7千㎥/ha、供用開始後年数(35年)で、下水道事業経営指標における分類では、類型「H1」型に属する。また、下水道は、1漁業集落排水事業を経営し、水洗化率は100.0%である。現在、経営の効率性、健全性は概ね確保されているといえる。しかしながら、少子・高齢化の進行や、処理区域内人口、大口利用の民宿の減少等により、排水処理料金収入の減少が見込まれ、維持管理費が増加傾向にあり、更なる経費節減に努めていく必要がある。さらに、各指標の傾向を十分に分析し、資産維持等の対策を講じる必要があり、今後も施設の老朽化に備えた処理場施設等の計画的な更新を行い、健全な事業運営に努めていく。