経営の健全性・効率性について
平成28年度は121.06%と依然、粟島浦村では毎年度、収益的収支比率が100%を上回っているため、経営状況は安定的に健全な水準にあるといえる。地方債は元金残が10,505千円となり、平成33年度の完済予定まであと5年となった。経費回収率についても毎年度100%を上回り、類似団体平均と比較しても上回っており、経営に必要な経費を料金で賄うことができている状況となっている。汚水処理原価については、平成28年度が多少上がったものの、ここ数年はほぼ横ばいで推移しており、類似団体平均と比較しても下回っている。これは旅館等の個人事業主が多く、年間総有収水量が多いことが要因の一つと考えられる。施設利用率については、過去5年間において同数(22.82%)で、類似団体平均と比較すると低い水準にある。これは、処理区域内人口が減少していることなどによるものであり、今後、汚水処理需要動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営計画を検討する必要がある。水洗化率は100.0%と高く、投資の効率性が良く、使用料収入が高いことからも、効果的な経営が行われている要因の一つとなっている。
老朽化の状況について
2つの処理施設を抱えており、供用開始から30年以上経過している内浦地区の施設や釜谷地区排水処理場の施設については機能診断を行った上で計画的に整備を行っている。直近では、平成26年度に釜谷地区排水処理場の施設整備を行った。また、内浦地区排水処理場の施設整備については機能診断・長寿命化計画を策定し、平成30年度には内浦排水処理場調査設計、当処理場改修・排水管路改修工事を行うなど、平成33年度まで施設機能保全工事を完了する予定である。
全体総括
粟島浦村は、現在処理区域内人口343人で、有収水量密度3.8千㎥/ha、供用開始後年数(33年)で、下水道事業経営指標における分類では、類型「Ec1」型に属する。また、下水道は、1漁業集落排水事業を経営し、水洗化率は100.0%である。現時点で経営の効率性、健全性は概ね確保されているといえる。しかしながら、少子・高齢化の進行や、節水意識の高まり、処理区域内人口の減少等により、排水処理料金収入が減少が見込まれ、維持管理費が増加傾向にある中で、更なる経費節減に努める必要がある。さらに、各指標の傾向を十分に分析し、資産維持等の対策を講じる必要があり、特に、施設の老朽化に備えた処理場施設等の計画な更新を行い、健全な事業運営に努めていく必要がある。