経営の健全性・効率性について
平成28年度の収益的収支比率は、前年度と比較し黒字が増加した。平成27年10月の料金改定により料金収入が上向きになったことと地方債償還金が減少していることが要因と考えられる。しかし、依然一般会計からの操出金に依存する部分も少なくない。経費回収率も前述のとおり、料金収入の増加と地方債償還金の減による汚水処理費が減少したことにより、良好な状態が継続している。しかし、今後下水道施設の更新投資等による汚水処理費の増額が見込まれ、また流域下水道の維持管理費に影響される部分があるため、現在の状況が継続されるとは考えづらい。現在の収益を積立て、今後の施設更新事業に備える必要があると考える。投資的事業はほぼ完了し、地方債償還金の逓減や、人件費の縮減等を行ってきており、類似団体平均値に比しても汚水処理原価は低水準であり、現状では費用の効率性については、悪い状況とはいえないが、一般会計の状況や今後の施設更新時期を考慮すると、健全経営を続けていくためには、引き続き自主財源を確保しなくてはならない状況にあるといえる。水洗化率が100%に近いため、新規接続による使用料収入の増加は、あまり期待できない。
老朽化の状況について
排水管敷設は昭和50年より開始しており、40年以上が経過している。概ね4~5年後には、最古の排水管から順次本格的な老朽度の調査を開始することになると思われる。その調査結果によっては、簡易な補修ではなく、耐用年数を前倒しし、本格的な更新工事に着手することも考えられる。また、中継ポンプ場が1基存在するが、平成30年度完了予定の長寿命化対策を実施しており、多額の費用を要することになる。
全体総括
新規築造事業はほぼ終了し、すでに地方債償還金も逓減し始め、人件費等可能な限り歳出削減に取り組み、また、積極的に基金積立てに努めてきた。今後は流域下水道の維持管理はもとより、近い将来、排水管の更新等本格的な維持管理の時代にシフトしていく。このような状況下において、安定した経営を確保するためには、安定した収益に努めなければならない。収益は現在も、一般会計からの操出金に依存している部分もあり、一般会計の負担軽減のためにも、自主財源の向上が必要である。平成27年10月に平均7.7%の使用料改定を行ったところであるが、必要に応じ、近い将来、使用料の見直しを検討しなければならないことも考えられる。