経営の健全性・効率性について
萩市の漁業集落排水事業は、昭和59年に供用開始、その後8処理区を順次供用開始している。供用開始した8処理区のうち1処理区が現在も整備中である。なお、平成25年に特定環境保全公共下水道と隣接している1処理区を統合している。市内の下水道使用料を平成23年10月と平成26年1月に段階的に統一を図った。収益的収支比率は汚泥の減量化等の取組の成果もあり90%程度で推移しているが、施設利用率については人口減少等により近年は減少傾向となっている。汚水処理原価については、処理施設機器の突発的な修繕の有無によって変動している。企業債残高対事業規模比率は、700%程度を推移しているが、平成26年度以降は類似団体平均に変動があったため大きく上回る結果となっている。水洗化率については、類似団体平均値や全国平均より高い数値を示しているが、後継者不足等で伸び悩んでいる。なお、平成27年度については新たに供用開始を1処理区したことから一時的に大幅減少となった。
老朽化の状況について
供用開始から30年を経過している処理施設については、過去に大規模な更新改良を行っている。供用開始からある程度経過した処理施設については、計画的な分解整備等により延命化を図っている。管渠については、更新改良を行っていないが必要に応じて調査を行っていく予定である。
全体総括
経営成績の明確化などを図るため平成30年4月からの地方公営企業法の適用に向けて準備を進めている。しかしながら、経費回収率が50%を満たないことや人口減少などを考慮すると使用料改定だけでは経営状況は上向きにならないと推察される。汚水処理原価の改善を図ることからも、接続可能な処理区については統合を進め、効率的な汚水処理を行う検討にも取り組んでいく必要がある。また、使用料を他事業と統一したことから、地方公営企業法の適用に併せ、会計処理を一本化した後、一つの下水道事業として経営戦略及び使用料の見直しに取り組んでいく予定である。