経営の健全性・効率性について
①の経常収支比率での比較では全国平均とほぼ同じ水準の107.07%で、現状では比較的経営は安定していると思われる。④の企業債残高対事業規模比率は、本市の数値は前年度より若干下がっているが、全国平均と比べると大きく上回っている。これは、本市の大部分の管渠整備を平成3年度以降に実施したためであり、依然として大きな負担となっている。⑧の水洗化率での比較では、本市の水洗化率は98%を超えており、類似団体の96.19%、全国平均の94.90%を上回っている。このため、⑤の経費回収率での比較では、類似団体の84.89%、全国平均の100.04%を上回る113.21%の数値を示しており、⑥の汚水処理原価での比較では当市の汚水処理原価が111.15円と類似団体の146.26円、全国平均の137.82円を大きく下回っていることに繋がっていると考えられる。
老朽化の状況について
②の管渠老朽化率及び③の管渠改善率の比較では、全国平均の数値がそれぞれ4.96%、0.27%であり、全国的にも、数値としては高くないと考えられる。本市の数値は0%である。これは、管渠の耐用年数が50年とされており、本市の供用開始が昭和61年度であるためである。また、本市の管渠整備の大部分は平成3年度以降で管渠が比較的新しく、最古のものでは40年経過しているものもあるが、調査の結果、まだ更新が必要ではないとされ、現時点においては早急な管渠の更新の必要性が少ない。しかし、管渠以外の処理場、ポンプ場については更新時期を迎えており、現在は部分的な更新を行っている。
全体総括
平成27年10月に大型商業施設が開業し、下水道使用料が一時的に増加したが、人口減少の傾向もあり、今後とも、有収水量の減少が予想されている。一方では、管渠の整備事業の大部分が平成3年度から平成13年度の間であったことから、起債の償還時期も集中しており、起債の償還額が減る平成40年度までは、非常に厳しい財政状況が続くこととなる。今後は、管渠の更新時期が集中しないよう、計画的に管渠の更新を順次実施していく必要があり、平成28年度に策定した経営戦略においても、10年以内に、長寿命化・耐震化計画を策定する旨明記している。なお、老朽化した処理場については、処理区統合を行い、流域下水で下水処理を行うことにしているため、必要な管渠等の整備が整いしだい廃止する。