摂津市：公共下水道

経営の健全性・効率性について

本市は平成29年度より法適用し、企業会計に移行したため、各指標は平成29年度のみとなっている。（1）①経常収支比率、②累積欠損金比率、③流動比率、④企業債残高対事業規模比率について本市は、バブル景気、バブル崩壊後の景気対策などで、短期間に集中して下水道整備を実施した。また、市域が淀川、安威川といった一級河川の沿岸にあり、土地が低いため、工事において地下水等の対策が必要であり、工事費が嵩むこととなった。加えて、整備当時に発行した企業債の元利償還金が高止まりしている。経常収支比率は105.50％と黒字を確保できており、類似団体平均値を若干上回っているが、流動比率、企業債残高対事業規模比率は、企業債残高が多く、元利償還金の負担が重いため、類似団体平均値と比較して悪くなっている。（2）⑤経費回収率、⑥汚水処理原価、⑦施設利用率、⑧水洗化率について経費回収率は100％となっているが、これは一般会計より分流式下水道に要する経費を受け入れているためであり、当該経費を除くと94.10％となり、下水道使用料により汚水処理費を賄うことができていない状態となっている。汚水処理原価については、汚水資本費（企業債利息、減価償却費）が高いため、類似団体平均値と比較しても高い水準となっている。施設利用率は、本市が流域下水道関連公共下水道であり、市管理の単独の処理場を有していないため、計上していない。水洗化率は類似団体平均値を下回る水準となっており、水洗化向上に向けて、職員による未水洗化世帯への戸別訪問、水洗便所改造助成金、水洗便所改造資金貸付金等の制度を活用して、水洗化の啓発を進めている。

老朽化の状況について

本市の管渠においては標準耐用年数とされる50年を超えるものはないものの、10年後には現存する管渠の約7％、20年後には約50％が整備後50年を超え、急激な老朽化が進み、その対策のために維持管理費が増加すると予測している。現在は、毎年施工年度の古い地域の管渠から健全度調査を実施しているが、大規模な改築更新、修繕が必要な箇所はなく、部分的な補修で対応している。

全体総括

企業の経費削減に向けた節水努力や一般家庭の節水型機器の普及により有収水量は減少しており、今後も使用料収入は漸減していくと予測しているが、下水道整備集中取組期間に発行した市債の元利償還金は、平成31年度以降、順次終了することから、経常収支比率等の指標は改善していくものと思われる。一方で、下水道整備黎明期に布設した標準耐用年数50年超の下水道管渠の老朽化対策等、更なる費用の発生が見込まれるため、財政見通しは引き続き厳しい状況が続くと予測している。また、平成29年度末までに公共下水道整備に投下した事業費は900億円を超えており、その全てを標準耐用年数で改築更新することが困難である。今後はストックマネジメント計画を策定し、計画に基づく効率的な調査、改築更新、修繕を進めるとともに、平成31年度に策定する下水道ビジョン及び経営戦略により、今後10年程度の収支状況を分析した上で、収支構造の適正化を図り、経営基盤の強化を進める。