経営の健全性・効率性について
収益的収支比率については、企業債償還が経営の硬直化の要因となっており、その償還財源として資本費平準化債及び一般会計繰入金等の使用料収入以外の収入に依存している状況が顕著である。しかし、企業債償還残高は減少傾向にあるため、料金収入の増加が見込めない状況ではあるが、改善傾向となっている。企業債残高対事業規模比率については、現在、流域下水道への接続事業を進めており、処理場施設の更新等を見送っていることから、企業債残高が減少傾向にあり、今後は企業債残高対事業規模比率の改善が予想される。経費回収率については、公共下水道事業への接続効果により、維持管理費が減少傾向にあるが、人口減少及び公共下水道への接続による使用料収入の減少があるため、6割程度の回収率で停滞している。汚水処理原価については、汚水処理費は減少傾向にあるが、有収水量についても減少傾向にあるため、若干悪化している。今後も、公共下水道への接続事業により施設の統廃合を進めることで、汚水処理費の抑制に努める。施設利用率については、過疎化や少子高齢化の影響によって処理区域内人口の減少が進んでいることから、今後も低い水準となることが予想される。水洗化率については、類似団体に比べ、高い水準にあるが、高齢世帯などに普及の余地がある。
老朽化の状況について
現在、市内において一番早く整備された地区で供用開始から30年以上経過していることから、処理施設の電気・機械設備の老朽化が進行し、修繕費等の維持管理経費の高騰が予想される。こうしたことから、維持管理経費等のコスト削減を図るため、公共下水道の事業計画区域内で供用後30年を経過した施設から、順次流域下水道への接続を進めている。接続までの期間は、施設更新等の老朽化対策は行わず、維持管理費用を必要最低限に抑えている。また、接続事業計画区域外の地域については、下水道事業審議会の答申を踏まえ、次期下水道ビジョン作成時に対策案を作成する。
全体総括
経営状況は、人口減少に伴い新たな収入が見込めない状況となっているが、処理施設の老朽化により維持管理経費の高騰が予想され、更なる経営改善に向けた取組が必要である。こうした中、平成26年度末策定の「長浜市下水道ビジョン」において、市内57地区に設置する処理施設のうちの31地区を、令和10年度までに流域下水道へ接続する計画を定め、経営改善の対策として推進しており、維持管理費の削減を図れてきている。なお、下水道計画区域外地区の公共下水道への接続や施設の統廃合についても、次期下水道ビジョンにて検討を予定している。