経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、経年比較においてはこれまでどおり右肩上がりの傾向にあります。その要因は面整備が完了に近づいたこと、汚水処理原価(資本費)が減少し結果的に経費回収率が上がってきたことがあげられます。また、水洗化率が漸増していることも要因としてあげられます。また、企業債残高対事業規模比率が類似平均と比べ低いのは供用開始からの年数が30年以上と長く整備率が高いことに起因すると考えられます。一方、順調に推移してきたこれらの指標に対し、処理区域内人口が減少傾向にあること、経費回収率が100%に満たないこと、供用開始後30年以上が経過し処理場施設の老朽化対策に加え、今後においては100㎞を超える管路施設の老朽化対策として維持・修繕費及び改築・更新費用の増加が予想されることがマイナス要因としてあげられます。したがって、さらなる接続(水洗化)の促進(啓発活動)を図り、下水道事業の状況について住民に理解していただいた上での下水道使用料の見直し、設備等更新時の省エネ機器導入など維持管理の効率化を図る必要があります。以上の対策を実施するため、本事業については、平成29年度から地方公営企業法を適用し、今後ストックマネジメント計画を策定して、経営状況の明確化及び計画性・透明性を向上させ、住民の理解を得ながら使用料水準の適正化を図り、下水道サービスを提供していきます。
老朽化の状況について
公共下水道事業については、昭和49年に事業着手、昭和60年に供用開始しており、供用開始後の経過年数は約32年となります。管渠施設については、耐用年数の50年を経過している施設はありませんが、約30年を経過すると下水道管渠の破損等に起因する道路陥没事故が増加することが報告されており、またマンホール蓋の耐用年数は車道部で15年であることから、今後は管路施設全体を俯瞰したストックマネジメント計画を策定し、計画的な修繕・改築事業に取り組むことで経費の平準化を図り、効率的な老朽化対策を進めていきます。なお、布設から30年を経過する管渠が今後漸増していくことから、点検・調査においても計画的に進めていきます。処理施設については、長寿命化支援事業により老朽化対策を進めてまいります。
全体総括
近年、下水道普及率及び水洗化率は増加傾向にあり、汚水処理原価(資本費)は減少傾向にあることから、結果的に経費回収率は増加傾向であり今後もしばらくは同様の傾向を示すと予想されます。しかしながら、汚水処理原価(維持管理費)は漸増傾向にあり、処理区域内人口の減少傾向や節水機器の普及に伴う処理水量の減少等による使用料収入の減少が予測されマイナス要因が潜在しています。支出の面では、施設の老朽化が進むことによる建設改良費の増加により、普及促進にかかる整備は一段落しつつも新たな起債償還費が増加することが予想されます。本町では、施設の長寿命化、更新時の省エネ機器の導入を進める一方、地方公営企業法の適用を踏まえ経営の計画性・透明性を向上させ使用料水準の適正化などが課題となります。