経営の健全性・効率性について
本町の下水道事業経営の健全性については、良好とは言えず、例年、下水道歳出全体の約25%以下しか下水道使用料で賄えていないのが現状である。指標⑤については、平成29年度から分流式経費の算出方法に変更があったことで、それ以降は類似団体とほぼ同数値になったが、法適化による打ち切り決算を令和3年度に行ったことにより、前年度より約20%下がっている。また、指標④でもわかるように企業債残高対事業規模比率が非常に高く、毎年度の企業債償還金が下水道事業経営を圧迫していることが要因として考えられる。こちらも、令和3年度は打ち切り決算を行ったことにより、今年度は一時的に前年度より悪化している。本町は下水道建設開始の昭和51年以降急速に整備を進めてきた経緯があり、下水道整備率が全体で約97%(公共下水道:74.82%、特環:23.04%)と高い。現在は今までの下水道建設で借り入れた企業債の償還に追われている。毎年返済する多額の下水道償還金が⑤経費回収率・⑥汚水処理費原価等を悪化させていたが、今後は償還金額は緩やかに減少していく予定であり、これらの数値は改善傾向になることが見込まれる。しかし、これからの人口減少に伴い下水道使用料収入の減少と下水道施設の老朽化の波が来ることも予想され、収益性の維持と下水道施設の更新費用の確保が今後の課題となっている。
老朽化の状況について
下水道の建設事業開始が昭和51年で、当初に布設した管は35年以上経過しており、下水道管の法定耐用年数は40年であるが、実耐用年数とのバランスと下水道事業の経営状態を考慮に入れ、計画的に改築・修繕を行う必要がある。令和元年度にストックマネジメント実施方針を策定し、令和2年度から管渠調査を行い、令和6年度にストックマネジメント整備計画で改築・修繕計画を立て、令和7年度から計画的に改築・修繕を行う。
全体総括
本町の下水道事業は将来にわたる人口減少による収入の減少が見込まれる中、早期に経営計画を策定する必要がある。さらに、2の老朽化の状況でも述べたが、資産の更新時期の把握をするためにも、令和6年度予定のストックマネジメント整備計画策定に向け令和2年度から管渠調査を行っている。今後の収益の確保においては、下水道使用料の料金改定についても5ヶ年ごとの見直しを行い、経営の健全性を確保できるよう図っていく。