経営の健全性・効率性について
④企業債残高対事業規模比率【345.38%】使用料収入に対する、今後、使用料収入で償還すべき企業債残高の割合を表します。⑤経費回収率【89.76%】公共下水で処理した汚水処理費をどの程度使用料で賄えているかを表します。この値が100%未満の場合は赤字経営の状態を示します。また、①収益的収支比率についても同様で、単年度の収支の状況を表します。⑥汚水処理原価【137.34円】1立法メートルあたりの汚水処理に要した費用を表します。⑧水洗化率【99.37%】公共下水道を整備した区域の人口に対し、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合を表します。~・~分析結果~・~企業債残高対事業規模比率や汚水処理原価の数値をみると、類似団体等との比較でも平均値を下回る低い値であることから、過大な投資をせず、維持管理コストも決して割高ではないことが判断できます。その一方で、平成27年度の1立方メートルあたりの使用料収入は123.28円であり、汚水処理原価に対し14.06円もの財源不足が生じている状況にあり、さらに、経費回収率が100%に達していないことなどから、本市の下水道使用料単価が、適正な水準ではないことが確認できます。
老朽化の状況について
本市の下水道は昭和51年度から整備事業に着手し、下水道管の大半は平成3年度までに布設されています。平成25年度には、市内全体を9つの処理分区に分け、重要路線(緊急輸送路、避難路等)と下水道管の経過年数を基にリスク評価を行い、処理分区毎の優先度判定を算出し、その中で老朽化が最も進んでいると想定される処理分区及び路線についてTVカメラ調査等を行いました。この調査結果に基づき、特に老朽化対策が必要な下水道施設のうち、平成27年度には、下水道管路については、約0.33キロメートルの更生工事を行い、また、マンホール蓋については、55箇所の更新工事を行いました。
全体総括
公共下水道が整備されてから40年近くが経過し、老朽化が進む下水道施設を継続して使用するためには、定期的に改修工事等を行う必要があり、多額の費用が見込まれる一方で、少子高齢化や節水型社会が進む昨今において、下水道使用料収入は年々減少しています。そのような状況から、平成27年10月に下水道使用料の改定を行いましたが、依然として経費回収率は100%に達しておらず、赤字経営の状況が続いています。これらを踏まえ、引き続き経営の健全化・効率化を図るとともに、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上等に的確に取り組むために、平成30年4月を目途に地方公営企業法の適用を受けるための準備を進めています。また、将来にわたって安定的に事業を継続していくための、中長期的な基本計画である「経営戦略」の策定にも取り組んでいきます。