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28年度の財政力指数は、0.01ポイントの増となった。これは、分母となる基準財政需要額が増となったものの、景気の回復傾向や人口増に伴う特別区税の増等により、基準財政収入額の伸びが基準財政需要額の伸びを上回ったためであり、類似団体内では低めの数値となっている。特別区税等本区の歳入環境は景気の動向に左右されやすい構造であり、本区では今後も南部地域を中心に人口増加が見込まれ、行政需要の増加が予想されることから、引続き歳出抑制に努める等、健全な財政運営を図っていく。
人口増や景気の回復基調に伴う特別区税の増等により一般財源が増となったものの、退職手当の増による人件費の増や、繰出金の増により経常的経費が増となり、前年度比で0.1ポイントの増となった。その結果、本区の経常収支比率は前年度に引続き適正水準(70~80%)の範囲内となり、類似団体内でも上位の数値となった。しかし、人口増等により今後も経常的経費の増が見込まれることから、引続き、効率的かつ効果的な行財政運営に取組んでいく。
28年度は、前年度と比べて1,049円の増となっている。これは、人口が増加しているものの、電子計算事務や電子自治体構築事業等において物件費が増加するなど、人件費・物件費等の合計が人口の伸びを上回ったことが主な要因である。本区の数値は、全国平均や東京都平均を下回っているものの、類似団体の中では高い数値となっている。人口増に伴い今後も物件費等の増加が見込まれるため、行財政改革の推進や既存事業の見直し、再構築などに努めていく必要がある。
28年度決算においては、普通会計における職員数が6人の減となり、人口数も増加しているため、前年度と比べて0.07人の減となっている。本区では、江東区行財政改革による定員適正化計画に基づき、適正な人材配置に努めている。今後も人口増や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催などに伴う新たな行政需要の増加が見込まれるが、事務事業の見直し等により、定員適正化に努める必要がある。
実質公債費比率は、東砂地区区民体育館改修に係る元金償還の終了などにより、満期一括償還地方債を除く公債費充当一般財源の減があったものの、元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額の減や標準財政規模が増となったことにより、横ばいとなった。今後、長期計画(後期)に掲げる公共施設の整備、改築・改修等を着実かつ計画的に進める必要があるため、後年度負担を考慮しつつ、適債事業に起債の活用を図っていく。
地方債償還等の将来負担額よりも充当可能財源等の額が上回っているため、将来負担比率の数値は「-」となり、健全段階となっている。しかしながら、今後、見込まれる公共施設等の更新に係る経費が含まれていないこと、また、地方交付税算入見込額が将来負担額から除かれており、不交付団体である本区においては、区税収入等で対応しなければならないことなど、必ずしも本区の財政状況を的確に捉えているとは言えない。
人件費は、退職手当の増等により、前年度と比較し増となった。本区では、江東区行財政改革計画に基づき、技能系職員の退職不補充や公共施設の民営化等により、定員適正化を積極的に推進してきた。本区では今後も人口増が見込まれており、限られた財源の中で多様化する区民ニーズに的確に対応するために、事務事業の見直し等により定員適正化に努める。
物件費は、小学校管理運営事業の減等により、前年度と比較し0.3ポイントの減となっている。物件費は、アウトソーシングの推進による人件費等からのシフトや、人口増加による行政需要への対応等により、今後増加が見込まれる。行政サービスの適正な水準を確保するため、更なる効率化や歳出削減に努める。
扶助費は、前年度と比較し0.1ポイントの減となった。28年度は、財源の増加により生活保護事業の減となったことや児童育成手当支給事業の減が主な要因であるが、人口増等に伴い、私立保育所の運営費や介護給付等給付事業などは増加傾向にある。今後も子ども関連経費等の増加が見込まれているため、事業の優先性や緊急性などを見定め施策展開を図っていく。
その他として、維持補修費、貸付金及び繰出金が構成要素としてあり、維持補修費は減となったものの、繰出金が増となったことから、前年度と比較し0.4ポイントの増となった。社会保障経費など義務的経費の見直しは難しいため、保険料の収納率向上による歳入確保や医療費の適正化など、健全な財政運営のための取組みを引続き推進する。
補助費等は、認可外保育施設保護者負担軽減事業の減等により、前年度と比較し0.2ポイントの減となった。今後も文化・体育施設等の出資団体の事業効率化や職員体制の見直し等による更なる歳出削減に努める。
公債費は、前年度と比較し0.3ポイントの減となり、引続き類似団体平均を下回っている。今後、長期計画(後期)に掲げる公共施設の整備、改築・改修等を着実かつ計画的に進める必要があるため、後年度負担を考慮しつつ適債事業に起債の活用を図っていく。
公債費以外では、前年度と比べて0.4ポイントの増となった。これは、景気回復や人口増加により歳入経常一般財源等が増加傾向にある一方、退職者数の増に伴う人件費の増等による歳出の増加額が上回ったためである。本区では行財政改革計画の推進や既存事業の見直し等により、歳出抑制に努めてきたが、財政構造の弾力性を高め、多様化する区民ニーズに的確に対応するため、引続き効率的かつ効果的な事業展開に取組んでいく。
本区の有形固定資産減価償却率は、道路・橋りょう等のインフラ資産において類似団体より比較的高い数値となっているものの、保育所や学校施設等の新規整備や計画的な改築に伴い、全体としては類似団体の数値を下回るものとなっている。今後も、公共施設等総合管理計画に基づき、既存施設の長寿命化及び改修・改築を実施していく。
計画的な改築等により、類似団体内平均値を下回っているものの、有形固定資産減価償却率が示すとおり、本区の公共施設は一定程度老朽化している。公共施設の計画的な改築に係る経費は今後増加していくことが見込まれるため、充当可能基金の確保等を計画的に図っていく必要がある。
実質公債費比率は、公債費等が、公債費等に係る基準財政需要額算入額を下回っているため、マイナスとなっており、健全段階に位置している。今後も、後年度負担について考慮のうえ、公共施設の整備及び計画的改築など、適債事業については、起債の活用を図っていく。
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