経営の健全性・効率性について
平成27年度の収益的収支比率は87.61%で、平成26年度よりも3.63ポイント悪化している。地方債の元本償還に充てた一般会計繰入金(資本的収支)が多いため100%を下回る状況が続いており、今後もこの状況が続くと思われる。更に、企業債残高対事業規模比率が平成26年度より2.38ポイント上昇し、類似団体平均値と比較しても1.75ポイント上回っており、平成26年度より経営が厳しくなった。今後は、収益を上げ、収益的収支比率は下げずに、企業債残高対事業規模比率は上げないように努めるとともに、企業会計への移行に合わせて、減価償却費の財源確保も考慮した経営計画の作成及び経営改善に向けた検討を進めていく。また、平成27年度の水洗化率は87.02%で、平成26年度よりも0.63ポイント上昇している。類似団体平均値との比較では、年々差は縮小しているものの、平均値を下回っている状況が続いている。現在も、流域関連市町などと連携し未接続世帯訪問や普及啓発活動等を行っているが、さらに効果ある活動への見直しなどを行いながら水洗化率の向上に努める。その他の汚水処理原価、施設利用率は、類似団体平均値と比較し良好な状況にあるが、今後、人口減少に伴う有収水量の減少などが予想されるため、施設の統廃合等により施設の処理能力の最適化を図り、投資の効率化、維持管理費の削減など経営改善に努める。
老朽化の状況について
平成27年度の管渠改善率は0.08%である。本県流域下水道の管渠は全て耐用年数の50年未満であるが、最も古い管は30年以上経過しており、水管橋の経年劣化や硫化水発生により腐食なども確認されるため、日常点検などにより適正な管理を行い、対策が必要な箇所は改善を図っていく。10数年後には管渠の老朽化が始まるため、企業会計への移行に合わせて、必要な財源確保を考慮した経営計画を作成し、今後の更新費用の増大に備える。なお、処理場の設備については、現在も長寿命化計画を作成し平準化を図りながら更新しており、今後も引き続き設備の改善を図る。
全体総括
本県流域下水道事業は、収益的収支比率が100%を下回り、企業債残高対事業規模比率及び水洗化率が類似団体平均値と比較すると評価が下回っているが大きな差はなく、全体的には健全な経営である。しかし、今後、人口減少等に伴う有収水量の減少や施設の老朽化などにより、経営環境が厳しくなることが予想される。そのため、平成32年4月の企業会計化に向け移行準備を進めるとともに、適正で平準化した負担金単価設定や施設の処理能力の適正化などを盛り込んだ中長期的な経営計画の策定に向け検討し、経営の基盤強化に努める。