経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%未満であり、収益で経費を賄えていない状況が続いている。経費の大半は、施設整備のために借入れた起債の元利償還金である。資本費平準化債等を活用し、不足分は一般会計からの繰入金により収支均衡を図っている。前年度と比較し、営業収益の増、総費用の減により収支比率が向上した。④企業債残高対事業規模比率は、下水道整備初期に借り入れた起債の償還が順次終了しているため、27.62%と低い数値となっている。⑤経費回収率は、平均を下回っており、かつ100%未満であることから、汚水処理費の抑制と使用料収納率の向上に努める必要がある。⑥汚水処理原価は平均を下回っている。経営の更なる健全化に向けて、水洗化率の向上により有収水量を増加させる取組が必要である。⑦施設利用率は依然平均を下回っている。設備の改修や施設の統廃合を進め、適正な施設規模とする必要がある。⑧水洗化率は平均を上回ってはいるが、非水洗化世帯は高齢者世帯が多く、水洗化に消極的なため大きな伸びはみられない。
老朽化の状況について
農業集落排水は昭和58年に整備を開始し、破損等のリスクが高まるとされる30年以上を経過する管路施設が年々増加しているが、これまで改築、更新を実施するほどの劣化は確認されていない。マンホール蓋については、耐用年数の15年を経過するものがあり、劣化や破損が見られる。処理施設については、更新時期を迎えた施設が多く、劣化や破損が見られることから、機能強化事業を実施し、計画的な改築及び更新を順次実施している。今後は、財源確保や経営に与える影響等を踏まえ、計画的に更新等を実施していく必要がある。また、汚水処理基本計画により市全域での汚水処理施設の統廃合を進め、総費用の削減に努めていく必要がある。
全体総括
下水道使用料及び基準内繰入金のみでは、経費の全てを賄えず、不足する分は基準外繰入金により収支均衡を図っている。今後は、人口減少及び節水型機器の普及を要因とした有収水量の減少が見込まれるため、未接続世帯の水洗化促進を行っていく必要がある。また、持続的な事業実施のため、汚水処理基本計画に基づく汚水処理人口普及率95%の早期概成に向けた処理施設の整備及び市全域を対象とした統廃合の取組に加え、計画的な施設の改築又は更新により総費用の削減を行う。令和2年度に使用料を改正しているが、今後も定期的に適正な原価に基づいた使用料への見直しを検討する必要がある。