経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は、地方債償還金のうち元金償還金に一般会計からの繰入金を充当しているため100%を下回っています。「企業債残高対事業規模比率」は、類似団体と比較すると平均を下回っており、経年比較では横ばいから減少傾向となっています。「汚水処理原価」は、類似団体と比較するとほぼ同水準となっており、経年比較では流入下水量の実績や施設設備の保守点検周期などにより維持管理費に変動があることから年度間で増減が生じているものと考えられます。「施設利用率」は、平成27年度は水処理施設を増設したことにより前年度を下回っています。類似団体と比較すると平成24年度までは平均を下回っていますが、平成25年度以降は平均を上回っています。流域関連市町の事業進捗などにより水洗化率が上昇傾向となっていることや、将来の流入下水量を予測しながら運転管理上必要最小限の施設能力を確保しつつ、将来において処理能力が不足することのないよう段階的な施設整備を行っているためと考えられます。「水洗化率」は、類似団体と比較すると平均を下回っておりますが、経年比較では流域関連市町の事業進捗などにより上昇傾向となっています。
老朽化の状況について
流域下水道の管渠は、昭和50年代から建設が進められており、施設延長ベースで平成14年度がピーク(約38km)となっています。建設後の経過年数に着目すると、平成28年度現在で、建設後50年以上経過した管渠はありませんが、2045年頃にはその割合が約38%に上昇することが見込まれています。下水道施設については、従前より定期点検結果に基づく「岩手県流域下水道長寿命化計画(個別施設計画)」を策定し、計画的な維持管理、長寿命化に着手しており、今後、管渠についても順次策定する長寿命化計画(個別施設計画)に基づき、予防保全型維持管理の取り組みを推進するとともに、随時計画の見直しを行い長寿命化対象の的確な選定など実態に即した計画とすることが必要です。
全体総括
流域下水道の汚泥処理工程で発生する消化ガスの売却による、新たな歳入の確保に取り組むとともに、将来の流入下水量を予測しながら運転管理上必要最小限の施設能力を確保しつつ、将来において処理能力が不足することのない段階的な整備を行うことにより、今後も過大投資とならないよう努めていきます。また、持続的かつ安定的なサービスを提供するとともに、経営や資産等に関する分かりやすい情報を提供するため、地方公営企業法の適用に向けた準備を進めていきます。