経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超える状況が続いているが、これは、平成28年度から単年度の収支不足について、一般会計から基準外繰入を実施しているためである。流動比率は昨年度と比較すると1.44%増加しているが、依然として100%を下回っている状況である。企業債元金償還のピークが令和7年度であることから、それまでは比率の改善は困難であるが、引き続き未収金対策等の実施により経営改善に努めていくこととする。給水収益に対する企業債残高の割合については、全国平均、類似団体平均を下回っている。算出の分子となる企業債残高は、平成29年度以降、大規模事業を実施していないため、減少傾向にあるが、分母となる給水収益が減少傾向にあるため、比率は横ばいもしくは、微減傾向になると予測される。今後は投資規模の適正化を引き続き図っていくこととする。料金回収率については全国平均、類似団体平均を上回ってはいるものの、収支不足について、一般会計からの基準外繰入金に依存している状況である。給水原価については、全国平均、類似団体平均を大きく上回っている。主な要因としては人口減少に伴い有収水量が減少していく中で、維持管理費等の経常経費が依然として高い状態にあることがあげられる。有収率については、昨年度と比較すると約5%増加しているが、全国平均及び類似団体平均値より低くなっている。各戸の漏水修理についてはメーター検針時に随時行っているが、今後もこれを徹底していくとともに、本管及び管末の漏水調査を計画的に行っていくこととする。
老朽化の状況について
老朽管の更新は平成26年度以降行っていないが、有形固定資産減価償却率は全国平均及び類似団体平均値を上回っている。また、設備関係については、浄水場の各種計測機器、浄水設備等の老朽化に伴う更新費用の財源確保が重要課題となっている。今後見込まれる更新需要については、給水収益の状況を的確に把握し、適切な規模の更新投資に合わせて事業運営していくことが重要となる。
全体総括
給水人口の減少により給水収益が減少傾向にある中で、経常経費、有形固定資産減価償却費、企業債元利償還等は当面の間高止まり傾向にある。平成28年度から単年度の収支不足分について、一般会計から基準外繰入金を繰り入れしているが、公営企業の原則である独立採算制に基づいた経営基盤強化のため、今後は中・長期的な展望に立ち、施設規模の適正化、施設の統廃合、合理化、経費縮減を図り、将来の水需要、施設の設備に係る更新投資を的確に見込みながら、持続可能な簡易水道事業の運営に努めていくこととし、これらの対策を盛り込んだ経営戦略を令和3年度に改定する。