経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、料金収入や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表しています。収益的収支比率については、100%以上を黒字としています。本市の場合、過去5年60%台を推移していますのでかなりの赤字経営です。④企業債残高対事業規模比率は、下水道料金に対する企業債残高(借金)の割合のことで、企業債残高の規模を表しています。類似団体平均値と比較して2倍以上です。これは、本市の公共下水道事業が平成12年度に供用を開始して14年しか経過しておらず、建設の途上であるので現状のままだと当分の間継続するものと思われます。平成26年度末までの下水道整備率は、30%ほどです。⑤経費回収率は、下水道料金で回収すべき経費を、どの程度下水道料金で賄えているかを表しています。100%以上が必要経費を回収していて正常な数値です。本市は、30%ほどなので使用料でほとんど賄い切れていません。接続率が低いため有収水量を確保できず、適正な料金収入が確保されていないことに原因があると思われます。⑥汚水処理原価は、有収水量(下水道料金となる下水量)1㎥当たりにどれだけ費用がかかっているかを表しており、過去5年間類似団体平均値と比較して高止まりとなっています。接続率のさらなる向上による有収水量の増加を図る必要があります。⑦施設利用率は、1日汚水処理能力(施設が1日に処理できる処理量)と1日平均処理水量の割合で、施設の利用状況や、適正規模を判断します。平成24年度に水処理施設を増設供用開始していますので、平成22、23年度と比較して半分程度となっています。⑧水洗化率は、現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合のことで、100%が望ましい値とされています。本市の場合、毎年度の管渠整備に対して水洗化可能人口は、増加しているものの水洗化が追いついていないものと思われます。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表しています。管渠改善率は、管渠の更新ペースや状況を把握することができます。
全体総括
本市の公共下水道事業の経営の健全性・効率性については、供用開始後14年しか経過しておらず、経費回収率が低く、汚水処理原価が高い水準で安定しておらず、水洗化率は低い水準です。水洗化人口の増加のためさらなる努力と定期的な料金改定、投資の効率化に努める必要があります。そのためには、市民への下水道事業に対するさらなる啓発活動を実施し、行政は、経費の徹底した抑制を図り、早期に管渠等の整備を促進し水洗化率を上げ処理水量を増大する必要があります。また、今後整備を進める区域については事業規模、計画の見直し等を考慮し、整備方法についても検討する必要があると思われます。なお施設利用率については、流入水量の伸びに応じて増設しますので必ずしも過大施設とは言い切れないところがあります。