経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は、100%以上で推移しており、現在のところ経営は安定しています。今後、施設更新を行うにあたり、いずれは100%を下回ることが予測されることから、財源の確保に向けて検討する必要があります。「流動比率」は継続して100%を大きく上回っており、支払能力に問題はありません。「企業債残高対給水収益比率」については、類似団体や全国平均と比較して高い状況が続いていますが、これは過去の拡張事業及び施設整備事業に伴う発行規模の大きい企業債が影響しており、残高は着実に減少傾向で推移しています。今後も、企業債の活用を予定していますが、借入額の抑制に努めながら財源の調整を行う必要があります。「料金回収率」は、継続して100%以上を維持しており、更新投資等の財源は今のところ確保できている状況です。効率性については、「給水原価」は全国や類似団体の平均より低く推移していますが、「施設利用率」は、人口減少のほか、大規模事業所の閉鎖や使用者の節水等に起因して年々減少し、類似団体より低い状況にあることから、給水人口に対して施設規模が大きいと言えます。今後も給水人口の増加は見込めないことから、施設の更新に合わせてダウンサイジング等の検討をする必要があります。「有収率」は、全国平均、類似団体平均より低く、今後も引き続き漏水対策を進めていく必要があります。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、53.03%で年々数値が上昇しており類似団体の平均値を上回っていますが、これは資本費の減少を意味すると同時に施設の老朽化が進んでいることを示しています。「管路経年化率」は、25.40%と全国平均、類似団体平均と比較してかなり高く、また、前年度から老朽化が進行していることから、法定耐用年数を超過した老朽管を多く保有していることを示しています。このことを踏まえ、現在、年次的に管路更新工事を進めています。その結果、「管路更新率」は0.85%と類似団体平均を上回っており前年度よりやや改善しています。しかしながら、厳しい財政状況の中で更新工事を進めていくには限界があり、新たな財源の確保と更新計画の見直しが必要です。
全体総括
人口減少を主な要因として、近年、給水収益は減少傾向にあります。一方、老朽化による管路及び浄水施設の更新と耐震化については、喫緊の課題となっており、進捗率を上げて取り組む必要があります。今後においても、平成28年度に策定した経営戦略や平成29年度に策定する新水道ビジョンを基に、引き続き健全な経営を維持できるよう、適正な規模で企業債を利用しながら、財源の確保と施設更新等を進める必要があります。