経営の健全性・効率性について
●経営の健全性について累積欠損がなく、「流動比率」は平成26年度から100%を下回る状況が続いていますが、支払能力としては、十分な水準にあると考えます。また、「企業債残高対事業規模比率」は、類似団体平均や全国平均よりも高くなっていますが、下水道整備が進んできたことにより、企業債残高は年々減少している状況です。「経常収支比率」は、100%以上を維持していますが、収支不足分を一般会計からの繰入金で賄っているためであり、「経費回収率」は、100%を下回る水準が続いています。これまでも段階的に下水道使用料の引き上げを行い、直近では平成24年10月に実施していますが、今後も定期的に使用料水準の見直しが必要と考えます。●効率性について「汚水処理原価」について、例年150円を超える分を分流式下水道等に要する経費として、一般会計から繰り入れているため一定して推移しています。「施設利用率」は類似団体平均や全国平均より高く効率性は高いといえます。本市では、整備区域の拡大に伴い処理区域内人口が増加し、水洗化人口は順調に増加しています。一方で、未普及地区の整備を進めていることもあり、「水洗化率」は類似団体平均や全国平均より低くなっており、今後も指導・啓発を継続していくことが必要です。
老朽化の状況について
「有形固定資産減価償却率」は、類似団体平均と同程度で、全国平均より低いという状況ですが、今後も年々上昇する見込みです。本市では現在も整備区域を拡大しており、下水管布設延長の増加が、法定耐用年数を超えた管渠延長の増加を上回り、「管渠老朽化率」は改善しました。現時点において法定耐用年数による改築更新の必要な管渠が下水管布設延長に対して少ないことから、「管渠改善率」は低い割合となっています。しかし、昭和62年から平成16年にかけて年間50kmを超える管路の整備を行っており、今後法定耐用年数を経過した管路が急激に増えることから、ストックマネジメント計画に基づいた計画的な改築更新が必要となります。
全体総括
本市では、公共下水道事業と特定環境保全公共下水道事業を1つの会計(公共下水道事業会計)で処理し、使用料体系も同一となっています。公共下水道事業は、合併に伴う未普及解消事業により現在も整備区域を拡大しており、平成31年度末の概成を目標としていますが、今後法定耐用年数を経過する管渠の増加が見込まれることから、平成30年度末に策定予定の経営戦略を基に、更新について検討していく必要があります。また、「経費回収率」が100%を下回る水準が続いているため、公営企業の原則である独立採算の観点から、定期的に下水道使用料の改定について検討していく必要があります。