経営の健全性・効率性について
①『経常収支比率』・・・給水人口の減少に伴う給水収益の低下によって平成28年度で類似団体平均値の約64.04%と低い値であり料金回収率も下回った状態であるため、経営状態は思わしくない状態にある。④『企業債残高対給水収益比率』・・・簡易水道施設への継続した建設事業投資により起債残高が増加しており、給水収益が給水人口減少に伴い減少傾向にあることから類似団体平均と比べて高くなっている。⑤『料金回収率』・・・収入の多くを料金収入以外で賄っているため、平成28年度においては類似団体平均値を下回り、毎年度40%程度の料金回収率となっている。⑥『給水原価』・・・平成24年度から平成27年度まで大きな変動はないが、平成28年度においては簡易水道事業の水道事業経営統合に伴う打切決算のため、例年より若干低い値となっている。⑦『施設利用率』・・・現在給水人口が計画給水人口を大きく下回ることで配水量も低下状況となっている。平成28年度においては、一部給水区域で漏水が確認されたため、類似団体より若干高い値となった。⑧『有収率』・・・類似団体の平均値と比べて高い数値となっており、施設稼働状態は比較的安定している。平成28年度においては、一部給水区域での漏水により、前年度より約7.7%低い値となっている。
老朽化の状況について
③『管路更新率』・・・平成24年度は類似団体の平均に比べ低い数値となっているが、平成25年度は移設事業等により類似団体に比べて高い数値となっている。また、平成26年度から平成27年度にかけて管路の布設替事業を行ったため、平成26~27年度の管路更新率は類似団体平均の約7倍と高くなっている。平成28年度は、類似団体の更新率とほぼ同率である。
全体総括
経営の健全性については、平均的な収益的収支比率や施設利用率の低さに比べると給水原価が高いため、経営としては非常に困難な状態が慢性化している。また、簡易水道事業は山間部等の過疎地域が多く、給水人口は年々減少しており、このままでは給水収益の増加は見込めない状況にあるとともに、一方では老朽化等による更新事業が必要な施設が多く、施設維持管理費や建設事業等の投資も必要となる。現状、給水人口の減少や起債残高等の課題が多く、健全な経営とは言い難い状態であり、一般会計からの繰入金が必要となっている。中津市簡易水道事業は、平成28年度をもって廃止し、平成29年度より中津市水道事業へと経営統合される。