経営の健全性・効率性について
経営基盤強化のため、令和元年6月供給単価8.3%の料金改定を実施したものの、給水収益は前年度対比27千円(0.4%)増に留まった。平成29年度の簡水統合により、今治市の簡易水道事業は関前地区単体となり、経営規模が縮小。令和元年度歳出決算額75,108千円に対し、給水収益は6,943千円しかなく、収支均衡を図るため、一般会計から繰入を行っている。平成10年度に整備した大下浄水場(海水淡水化施設)は老朽化が進み、更新時期を迎えているが、整備事業の財源として、国庫補助金、市債借入を予定しており、令和元年度に於ける地方債残高は前年度対比29,528千円減少しているものの、更新事業が終わる令和5年度までは増加する見込。費用の減少幅より有収水量の減少度が大きく、給水原価は上昇。平成29年度に有収率が落ち込んだのは場所の特定が難しい海底送水管からの漏水が原因であるが、元年度は配水量・有収水量とも前年度より減少しており、給水人口の減少に伴う有収水量の減が有収率の低下要因と考えられる。
老朽化の状況について
入札遅延により平成29年度予定していた海底送水管の整備事業が繰越し、平成30年度に於いて③管路更新率が上昇。元年度には、建設改良工事の実施がなかった。現在実施している大下浄水場浄水施設更新事業は、海岸井戸を水源とし、淡水井戸の水をブレンドした逆浸透膜による海水淡水化施設の更新整備である。更新事業完了後(令和5年度予定)、施設の老朽化は解消される。
全体総括
広島県境に位置する岡村島では海水淡水化施設の更新か、広島からの受水かを比較検討した結果、経済的かつ安定供給を見込める広島からの受水を選択。広島県においても水需要の低下による給水能力の余剰があり、他の受水市町への影響がないことから、相互利益に繋がった。広島県の既設送水管から呉市に今治市との分水点を設置し、ポンプ場を設け、橋梁添架管、岡村島内に減圧水槽、調整池、配水池を新設し、岡村島に隣接する小大下島へは既設の海底送水管を活用し、共に広島水道用水供給事業からの越境供給を平成29年4月に開始。島間の距離が長い大下島は海底送水管を繋がず島内浄水場で水を生産している。離島という地理的要件のため、上水道へ認可統合の出来ない関前簡易水道事業であるが、任意とされている地方公営企業法の適用を早期に実施するよう総務省から指導を受け、令和3年4月より法適化を図ることとなった。