地域において担っている役割
救急医療や周産期母子医療においては,備北圏域のみならず,安芸高田市・世羅町など広島県三次市の隣接市町や島根県南部にわたる広域の二次救急を担っている。また,へき地医療拠点病院の指定を受け,圏域内外の病院や診療所に医師を派遣するなど,地域医療に貢献している。
経営の健全性・効率性について
累積欠損金もなく,経常収支比率は100%を超えている。医業収支比率においては平成28年度から100%を切っているが平均値より8.2ポイント上回っている。しかし,平成28年度の診療報酬改定での看護師配置7対1入院基本料の施設基準厳格化により,3病棟を10対1病棟にせざるをえなかったことで,入院収益が減額した。病床利用率は,平成28年度より上向いたが,当院のような急性期病院は平均在院日数を短縮するよう努めていること,また,上記の診療報酬改定により重症度や看護必要度の基準が引き上げられたことで,さらに平均在院日数の短縮化が求められ,利用率が大きく伸びることはなかった。入院単価も,診療報酬改定の影響により減額した。今後も2年に1度の診療報酬改定に臨機応変に対応し,収益の効率性を上げていく。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は平均より高いが,経常収支比率は100%を上回っているので,施設の老朽化は進んでいるが,更新投資を経常収益で賄える状況にある。
全体総括
地域医療の確保に重要な役割を果たしており,かつ,経営の健全性が確保されている自治体病院ということで,平成29年度には自治体立優良病院会長表彰を,平成30年度には同総務大臣表彰を受賞したこともあり,現在は経営の健全性・効率性は問題ない状態である。しかし,収支比率が年々減少傾向にあるとともに,給与費対収益比率は増加傾向にあり,材料費同比率は高いままのため,引き続き,収益を上げ費用を下げるための経営分析を行い健全経営に努めていく。また,有形固定資産減価償却率が高いこと等から,施設の老朽化も見えており,建替え等の施設の改良計画を図っていく。