島根県:電気事業

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収録データの年度

2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度

経営比較分析表(2020年度)

2011201220132014201520162017201820192020202170%80%90%100%110%120%130%140%経常収支比率
2011201220132014201520162017201820192020202170%80%90%100%110%120%130%営業収支比率
20112012201320142015201620172018201920202021100%200%300%400%500%600%700%800%900%1,000%1,100%1,200%1,300%1,400%流動比率

経営の状況について

島根県の電気事業は、令和2年度は15の水力発電所、2つの風力発電所、4つの太陽光発電所を運営していましたが、このうち国のFIT制度適用後も赤字基調にあり、累積赤字の解消が困難と見込まれた1つの風力発電所は、令和2年10月に民間企業へ譲渡しました。近年は、FIT制度を活用した小水力発電所の開発や、老朽化した既存水力発電所のリニューアル工事に積極的に取り組んでいます。指標のうち、「流動比率」は令和元年度と比べて低下しました。その主な要因は、水力発電所リニューアル工事に伴い出力の大きな発電所が停止しているためですが、健全性の基準である100%は超えており、十分な支払い能力を保有しています。「営業収支比率」は、令和元年度と比べて上昇しました。その主な要因は、夏の梅雨期と冬の降雪期双方で降水量に恵まれたことなどで供給電力料金収入が増加したこと、リニューアル工事に伴う除却費用が減少したことなどによります。「供給原価」は、令和元年度と比べて低下していますが、これも前記と同じ理由によります。令和5年度までに発電所のリニューアル工事が完了していきますので、今後は各指標とも大きく改善していく見込みです。
201120122013201420152016201720182019202020210%設備利用率
2011201220132014201520162017201820192020202125%30%35%40%45%50%55%60%65%修繕費比率
2011201220132014201520162017201820192020202140%42%44%46%48%50%52%54%56%有形固定資産減価償却率
2011201220132014201520162017201820192020202130%40%50%60%70%80%90%100%FIT収入割合

経営のリスクについて

水力発電については、梅雨期と降雪期の降雨量に恵まれたことや、八戸川発電所リニューアル工事に伴う受変電設備更新工事が完了し、八戸川第二、第三発電所が通年で運転したことから、発電電力量が増加し、「設備利用率」が上昇しました。「修繕費比率」は、老朽化した水力発電所のリニューアル工事に合わせて建屋等の修繕を実施したことから、上昇しました。「企業債残高対料金収入比率」は、リニューアル工事による企業債の借り入れの増加に伴い、令和元年度から更に上昇しました。FIT制度を活用し、長期的に安定した発電を行い経営基盤の強化を図るため、水力発電所のリニューアル工事や小水力発電所の新規開発に積極的に取り組んでいるため、今後も「FIT収入割合」は高い水準が続きます。風力発電については、引き続きメンテナンス体制強化による故障停止時間の縮減に取り組みましたが、一部の風車でブレードや主軸受破損に伴い停止時間が増加したため、「設備利用率」は低下しました。「修繕費比率」についても、ブレード修繕に要した費用が高額であったため、前年度から上昇しました。全国水準に比べても高い水準となっています。太陽光発電については、施設が新しいこともあり故障がなく、日照条件も良かったため、「設備利用率」はこれまでの水準を維持しました。「修繕費比率」は、一部発電所で防草対策工事を実施したことから例年に比して上昇しましたが、全国平均値より低い数値でした。設置年次が新しいことから、「企業債残高対料金収入比率」は全国平均値より高く、「有形固定資産減価償却率」は全国平均値より低くなっています。水力、風力、太陽光ともにFIT収入割合が高いなかで、FIT適用期間終了後の電気料金制度の動向は不透明なため、留意が必要です。

全体総括

電気事業は、リニューアル工事により一時的に各指標が悪化していますが、運転再開に伴い順次好転していく見込みです。「島根県企業局経営計画」に基づき、地域の資源である水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電の維持拡大に取り組んでいきます。併せて経費の縮減と安定的な収入の確保に努め、引き続き経営基盤の強化に努めます。水力、風力、太陽光発電のFIT適用終了後の施設のあり方については、現時点で定まっていませんが、今後、再生可能エネルギーの普及状況や市場の動向、脱炭素化等の社会情勢を踏まえて検討していきます。