経営の健全性・効率性について
○平成27年度以降「①経常収支比率」,「⑤料金回収率」共に類似団体平均値を上回っているが,令和元年度は給水収益の減少や経常費用の増加に伴い,対前年度比では低下している。○水需要の減少を踏まえ,施設規模の適正化を図っているが,令和元年度は1日配水量が減少したことから「⑦施設利用率」は前年度と比べ0.9ポイント低下した。また,「⑥給水原価」は,有収水量の減少の一方で,経常費用が増加したことで前年度に比べて1.6円上がった(悪化)が,類似団体平均値は下回っている。○一方,これまで建設財源の大部分を企業債で賄っていたため,「④企業債残高対給水収益比率」が類似団体平均値を大きく上回っているが,令和元年度は9.0ポイント低下(改善)した。「⑧有収率」は類似団体平均値を下回っているが,令和元年度は0.2ポイント上昇(改善)した。「③流動比率」は類似団体を下回っているが,資金不足は発生していない。
老朽化の状況について
○「①有形固定資産減価償却率」は,既存施設の更新を進め,新規資産の取得が増加しているものの,改築更新を上回るペースで配水管や施設の老朽化が進んだため,令和元年度は対前年度比では上昇している。○「②管路経年化率」は,平成28年度までは類似団体平均値並みとなっていたが,平成29年度から補助配水管(口径75mm以下の配水管)の布設年度別延長のデータ精査ができたことから,それらを含めて算出した指標へと見直した結果,大きく上昇した。令和元年度は改築更新を上回るペースで配水管の老朽化が進んだことから,対前年度比では上昇した。○「③管路更新率」は,平成29年度から類似団体平均値を上回っており,令和元年度も引き続き配水管更新のスピードアップに努めたことにより,更新率は前年度から更に上昇した。
全体総括
○企業債残高対給水収益比率と管路経年化率が他都市と比べても高い水準にあるため,企業債残高の削減と管路更新率の更なる向上が課題となっている。○今後も節水型社会の定着や人口減少等により水需要の減少が見込まれるほか,昭和40年代~50年代以前に布設した大量の配水管が順次更新時期を迎えるなど厳しい経営環境が続くことが見込まれる。○これらを踏まえ,「京都市上下水道事業経営ビジョン(2018-2027)京(みやこ)の水ビジョン-あすをつくる-」及びその前期5箇年の計画である「京都市上下水道事業中期経営プラン(2018-2022)」に基づき,長期的な視点に立った取組を着実に進めながら,計画的な改築更新を進める。財政計画に基づき,企業債の発行を抑制するとともに配水管の更新率を向上させるため,業務執行体制の効率化等を進め,必要な利益(積立金)を確保する。