経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%以上であるが、類似団体平均値よりも9.1P下回っている。また、流動比率は200%以上であるが、流動資産が年々減少傾向にあることから、今後は更に厳しい経営状況となることが予測される。企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値を下回っており、良好と言えるが、本市が企業債借入金の上限目安としている170億円に対して企業債残高は約160億円であり、上限に迫っている。料金回収率は有収水量の減少により給水収益が下がり、対前年度比0.54P悪化した。また、直近3年間では100%を下回っており、今後は更に人口減少等による有収水量の減少が予測される。給水原価は類似団体平均値と比較して13.49円上回っている。また、施設利用率は類似団体平均値と比較して12.45P下回っている。これは平成29年度に簡易水道事業を統合したことにより、給水区域が広くなり、地理的にも効率が悪い地域が多くなったことや合併前の市町村単位で整備された施設を使用し、過剰施設を保有する状況となっていることが要因である。今後、施設統合やダウンサイジングの検討を行い、効率的な供給に努める必要がある。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は対前年度比1.34P増加し、類似団体平均値を4.18P上回っており、法定耐用年数に近い資産を多く保有している状況である。今後は更に施設更新の増加が予測されるため、更新財源の確保が必要である。管路経年化率は対前年度比2.33P増加し、類似団体平均値を12.12P上回っており、法定耐用年数を超えた管路を多く保有している状況である。これは管路更新率が低いことが要因であり、有収率の悪化が進行しているため、管路更新率を増加する必要がある。
全体総括
前年度と比較して、各指標が悪化を示す結果となった。特に、経常収支比率および料金回収率については、年々悪化傾向にあり、更なる費用縮減と早期の料金改定による収益確保が必要である。管路経年化率が示すように、今後、老朽管の割合が増加し、有収率の減少や防災面においても危惧される状況であるため、管路更新率の向上に努める必要がある。