経営の健全性・効率性について
【①収益的収支比率】新規整備による処理区域の拡大に伴い料金収入が増加し、さらに一般会計からの繰入金が増額されたため、昨年度に比べて総収益が1割ほど増加した。一方で、接続件数の増加に伴い、維持管理負担金や徴収事務手数料も同様に増えており、昨年度に比べて総費用も1割ほど増加している。総費用に比べて総収益の増加が若干大きかったため、昨年度に比べて比率は上がっているが、現状の収益では費用を賄うことができない。【④企業債残高対事業規模比率】類似団体平均値の約1.6倍、全国平均の約3.5倍と依然高い比率となっている。今後も整備が継続し供用開始直後の接続率が低いため、比率は高くなると考えられる。【⑤経費回収率】類似団体平均の約7割、全国平均の約4割となっている。営業収益も汚水処理費もともに増加しているが、料金収入の増加が地方債償還金や維持管理負担金といった汚水処理に係る経費の増加より大きかったため、前年に比べ約4%高くなっている。【⑥汚水処理原価】類似団体平均の約1.9倍、全国平均の約3倍となっている。汚水処理費、有収水量ともに増加しているが、維持管理負担金や地方債償還金といった汚水処理に係る費用の増加より、供用開始エリア拡大に伴う有収水量の増加が大きかったため、前年に比べて約40円低くなった。【⑧水洗化率】類似団体平均と同程度であるものの、60%にも達していない。また、下水道処理区域人口の増加に比べ水洗便所設置済人口の増加が小さかったため、若干ではあるが前年に比べて低くなっている。
老朽化の状況について
供用開始から7年しか経過しておらず、老朽化に該当する数値はない。今後、劣化や腐食等に伴うリスクの回避や、費用を抑え計画的に修繕や改築を行うため、点検・調査計画を策定していく。
全体総括
収益的収支比率が100%を下回り、赤字経営といえる。現在、汚水処理の概成を目指し最大限の整備を進めているため、今後も起債残高は大きくなる。効率的な整備による投資費用の抑制と、効果的な整備による有収水量の増加に取り組む必要がある。また、供用開始から7年しか経過しておらず、依然として水洗化率が低いため、料金収入が十分に確保できていない。平成28年度に策定した経営戦略に基づき、接続率向上と維持管理費の削減を進め、経費回収率や汚水処理原価といった指標を改善しなければならない。なお、平成31年の地方公営企業法の適用や、愛知県主導による広域化・共同化計画の策定に際し、経営戦略の見直しを行い、改めて適正な経営目標を設定する。