岩倉市：公共下水道

経営の健全性・効率性について

令和元年度から地方公営企業法の一部適用となった。①経常収支比率は100％以上となっており、単年度の収支は黒字である。しかし、類似団体平均よりも低く、一般会計からの繰入金に大きく依存しているため、引き続き使用料収入の確保、維持管理コストの削減を図り、経営の健全化を進める必要がある。③流動比率は類似団体平均を上回っているものの、100％には満たない状態で、流動資産で流動負債を賄えていない。管渠布設工事等に係る企業債の償還金が流動負債の７割近くを占め、大きい負担となっている。支払能力を高めるため、使用料収入の確保を図り、経営の健全化を進める必要がある。④企業債残高対事業規模比率は類似団体平均を下回っているが、全国平均よりは高い。現在、未普及解消に向けた面整備工事を順次進めているためであり、企業債については必要な借入れと認識している。⑤経費回収率は類似団体平均を大きく下回っており、使用料で回収すべき汚水処理費を使用料で賄えていない状況にある。流域下水道維持管理費負担金や企業債利息の割合が高く、一般会計からの繰入金に依存している。費用削減に努めるとともに、面整備の推進や下水道への接続促進により、使用料収入を増加させていく必要がある。⑥汚水処理原価は類似団体を上回っている。汚水処理費では流域下水道維持管理費負担金や企業債利息の割合が高い。費用削減に努めるとともに、接続促進により有収水量を増加させていく必要がある。⑧水洗化率は類似団体平均をやや下回っている。面整備工事を順次進めており、水洗化人口も処理区域内人口も増加しているため、比率はほぼ前年並みである。未水洗化世帯に働きかけて接続促進を図っていく必要がある。

老朽化の状況について

令和元年度から地方公営企業法の一部適用となっており、同年度から減価償却費を算定しているため、①有形固定資産減価償却率は類似団体平均を下回っている。本市の公共下水道は、平成元年度に建設事業を開始しており、事業開始から30年程度しか経過していないことから、法定耐用年数を経過する管渠はなく、老朽化は比較的進んでいないと考えられる。そのため、③管渠改善率も高くはないが、今後、修繕を必要とする管渠は増加していくと見込まれるため、既存の管渠の補修・改築を適時に行う必要がある。

全体総括

⑤経費回収率、⑥汚水処理原価の状況を考えると、本市の公共下水道事業の経営状況は決して健全とは言えない状況にある。使用料収入が少ないことで、必要な費用を賄うために一般会計からの繰入金に依存していることが大きな要因である。今後は修繕を必要とする管渠が増加し、更に補修費用がかかることが見込まれる。そのため、引き続き、持続可能な事業運営に向けて、汚泥処理の共同化などの広域化・共同化に向けた検討を進めてコスト削減を図るとともに、接続促進、収納対策、使用料体系の見直し等の方策により、使用料収入を増加させる取り組みを進めていく。経営戦略については、策定を進めており、令和２年度中に公表予定である。