経営の健全性・効率性について
①経常収支比率経常収益は給水人口の増に伴い水道料金収入が増加したが、基幹浄水場の更新に伴う旧施設除却に係る資産減耗費の増等により経常費用が大幅に増加した。これらの理由により、経常収支比率は前年度と比較し22.66%の減となった。指標の基準である100%以上を維持しているものの、類似団体平均値、全国平均値と比べて低い水準となっており、事業の効率化等を推進し、健全経営に努める必要がある。③流動比率基幹浄水場の更新工事が期中に完成したこと等により、未払金の減少による流動負債の減少、現金預金の減少による流動資産の減少が生じた。結果として流動比率は前年度と比較し126.15%の増となった。短期的な債務に対する支払能力については確保されている。⑤料金回収率上記同様、資産減耗費の大幅増により、料金回収率は前年度と比較し26.56%の減となった。指標の基準である100%以上は維持しているものの、類似団体平均値と比べて低い水準となっており、今後も健全な経営に努める必要がある。⑥給水原価上記同様、資産減耗費の大幅増により、給水原価は前年度と比較し29円74銭の増となった。類似団体平均値、全国平均値と比べて低い水準であるが、今後も健全経営に努める必要がある。⑦施設利用率類似団体平均値よりも高く施設を効率的に稼動できている。⑧有収率漏水量の若干の増により、前年度と比較し0.61%の減となったが、類似団体平均値より高い水準を維持している。
老朽化の状況について
老朽管路の更新に当たっては、基幹管路である大口径管の更新を優先しているため、③管路更新率が類似団体平均を若干下回った。今後は、計画的に耐震化工事を進めていく必要がある。一方、①有形固定資産減価償却率が類似団体平均を下回っていることは、比較的新しい資産が多いことを表しており、全体としては老朽化対策が進んでいると判断することができる。ただし、管路については、②管路経年化率は類似団体平均を若干上回っており、未だ多くの老朽管路が残っていることを表している。引き続き更新事業を推進する必要がある。
全体総括
平成29年度決算については基幹浄水場の更新に伴う旧施設除却に係る資産減耗費の増による費用の大幅増があったが、概ね経営の健全性、効率性を確保できている。一方、施設面においては、水道管路等の老朽施設の更新のほか、地震対策のため管路耐震化も推進する必要がある。健全経営を維持しつつ、これら事業を実施するため、将来の更新計画や財政支出を明らかにするとともに、平成30年度に経営戦略を策定、公表する等、長期的な視野に立った適正かつ効率的な水道事業の運営に取り組んでいく必要がある。