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令和2年度は、消費税率の引上げの影響による地方消費税交付金の増などにより基準財政収入額が増加し、社会保障関係経費の増などにより基準財政需要額も増加した。基準財政需要額の規模に対して、財源不足額が相対的に少ないため、財政力指数は1.00を下回っているものの、類似団体内平均値を上回る状況にある。
令和2年度の経常収支比率は、歳入において法人市民税は減少したものの、県税交付金の増加や減収補?債(特例分)が皆増した一方で、歳出において人件費や扶助費が増加したことなどにより前年度に比べて0.1ポイント増加し、99.7%となり、依然として高い水準にある。これは、少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化や、過去の整備に伴う元利償還である公債費への支出割合が高止まりしていることを主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
令和2年度の人口1人当たり人件費・物件費等決算額は、会計年度任用職員制度の施行などにより人件費が、新型コロナウイルス感染症対策などにより物件費がそれぞれ増加し、前年度に比べて7,637円増加した。なお本市において、人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っており、物件費等については、内部管理事務経費や施設の維持管理費を精査することなどにより、経費の削減に努めている。
平成28年4月1日から国に準じ給与制度の総合的見直しを実施し、本市においては給料表の水準の平均4.5%の引下げ及び国と同率の地域手当の支給割合の見直し等に取組んだ後は、人員構成や給与改定の差異の影響はあるものの、ほぼ横ばいで推移している。
平成28年3月に策定した「平成29~31年度定員管理の方針」に基づき事務の集約化や施設のあり方の見直し、事務の委託化・嘱託化等により職員数を見直し、必要度・重要度のより高い事務事業へ重点的に職員を配置しているが、人口当たり職員数は類似団体内平均値を上回っている。これは市立教育機関や保育所等の直営福祉施設の差が主な要因であると考えられる。同方針で掲げていた平成28年度職員数に対し、平成31年度当初までに100人程度の純減(公営企業及び県から移管された小中学校等の教職員等を除く)は達成した。令和2年度に人口千人あたり職員数が増加した主な要因は、東部・西部医療センターの名古屋市立大学病院化による病院局廃止に伴い、名古屋市立大学病院への派遣職員数が1,177人増加したためである。今後は「令和2~6年度定員管理の方針」に基づき、令和元年度職員数に対し、100人以上の純減(公営企業を除く)を目指し、施設の民営化や業務の委託化等を進め、定員の再配分を積極的に行うことにより、効率的・効果的な行政運営に努める。
令和2年度の実質公債費比率は、類似団体内平均値と比べて0.6ポイント高いが、前年度と比べて0.3ポイント減少している。これは、実質公債費比率は3か年平均の指標であるため令和2年度と平成29年度決算を比較すると、分子となる元利償還金が減少していることに加え、分母となる標準財政規模が、県税交付金等の増による標準税収入額等の増により増加したことなどによる。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
令和2年度の将来負担比率は、類似団体内平均値と比べて18.4ポイント高いが、前年度と比べて0.4ポイント減少している。債務負担行為に基づく支出予定額が瑞穂公園陸上競技場の整備の増により増加したことなどにより、分子となる将来負担額が増加したものの、分母となる標準財政規模が、県税交付金等の増による標準税収入額等の増により増加したことなどにより、比率としては低下している。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
人件費については、定員管理の方針に基づき、計画的に職員数の見直しなどを行っているが、平成29年度は、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどにより増加した。令和2年度は、会計年度任用職員制度の施行などにより前年度に比べて0.6ポイント増加し、33.3%となった。また、次頁の人件費及び人件費に準ずる費用の人口1人当たりの歳出決算額は、依然として類似団体内平均値を上回っている。その理由及び分析については、(3)市町村財政比較表の「定員管理の状況」分析欄を参照。
令和2年度の物件費に係る経常収支比率は10.7%で、前年度と比べて0.1ポイント減少している。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したため10.6%となった。また、平成28年度以降は11.0%前後で推移しており、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。これは施設運営の効率化や光熱水費の削減などに努めてきた結果であると考えられる。
令和2年度の扶助費に係る経常収支比率は17.1%と類似団体内平均値と比べて高い水準にある。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したことなどにより16.3ポイントとなった。平成30年度以降は、障害者福祉施策や児童福祉施策に係る経費が増加傾向にあることから、増加していたが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、医療費助成などが減少したことから、前年度に比べて0.2ポイント減少した。
令和2年度のその他の経費に係る経常収支比率は11.3%で、前年度から0.1ポイント増加し、類似団体内平均値と同値となった。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したため10.8%となった。令和2年度は、その他の経費のうち後期高齢者医療特別会計や介護保険特別会計への繰出金が増加したことなどによるものである。
令和2年度の補助費等に係る経常収支比率は10.2%で、前年度と比べて0.1ポイント減少している。平成29年度は、県費負担教職員に係る給与負担等が本市へ移譲されたことに伴い経常一般財源等が増加したため11.5%となった。補助費等は類似団体内平均値と比べて高い水準にあるが、これは交通事業を始めとした公営企業などへの繰出が多額になっていること及び名古屋港を管理する一部事務組合を設置し、負担金を支出していることが主な要因であると考えられる。
公債費に係る経常収支比率は17.1%で、類似団体内平均値と比べて低い水準を維持している。また、前年度から0.2ポイント減少しているが、これは平成26年度以降、利率の低下に伴い利子支払額が減少したことが主な要因であると考えられる。今後も地方債発行にあたり、実質公債費比率や地方債現在高等に注視しながら、将来世代に過度の負担を残さないように十分留意する必要がある。
公債費以外に係る経常収支比率は、平成29年度は、県が負担していた義務教育等に係る教職員の給与等を本市が負担することになったことなどの影響により、2.4ポイント増加した。平成30年度以降は増加傾向にあり、令和2年度は県税交付金などが増加したものの、人件費や繰出金などが増加したことなどにより、0.3ポイント増加した。本市は類似団体内平均値と比べて高い水準にあり、これは少子高齢化の進展や社会保障施策の拡充に伴い保育や障害福祉、医療などへの支出割合が高まっていることなど、社会構造、都市構造の変化を主な要因とするものであり、成熟度の高い都市の特徴であると考えられる。
(増減理由)減債基金やその他特定目的基金の災害対策事業基金及び子ども・親総合支援基金などを取崩したことなどにより、基金全体の残高は前年度に比べて約11億円減少している。(今後の方針)リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金は令和9年とされているリニア中央新幹線開業に向けたまちづくりの推進を着実に図るため、それまでの間に取崩し額の増加が見込まれる。アジア競技大会基金は、大会運営費など主催者負担経費の財政負担を平準化するため、今後多額の積立てを進め、令和8年の第20回アジア競技大会の開催に向け、全額を取り崩す予定である。各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
(増減理由)災害救助基金の積立てのための取崩し(19億円)を行った一方で、一般会計決算剰余金の基金編入(約43億円)を行ったこと等により、財政調整基金残高は約18億円増加している。(今後の方針)財政規律で定めた「財政調整基金の積立額100億円を目指す」という目標を念頭に置き、長期的な視点に立った健全な財政運営に努めていく。
(増減理由)市債償還財源繰出のための取崩しにより、減債基金残高は前年度と比べて約14億円減少している。(今後の方針)各年度の公債の償還の財源に充てるために必要な積立て及び取崩しを行っていく。
(基金の使途)リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金:リニア中央新幹線開業に関連する名古屋駅周辺地区まちづくり等を推進するための資金市営住宅等管理運営等基金:市営住宅等持続的かつ安定的な管理運営及び徴収した敷金の管理のための資金災害対策事業基金:災害対策事業を推進するための資金国際交流事業積立基金:国際交流事業を推進するための資金アジア競技大会基金:第20回アジア競技大会開催の資金(増減理由)災害救助基金(19億円)は、災害救助の円滑かつ迅速な実施を図るため、災害救助法に基づく救助実施市の指定を内閣総理大臣から受けたことに伴い、災害救助法第21条第1項に規定する費用の支弁の財源に充てるため、令和2年度に新設したことにより、皆増している。災害対策事業基金は、災害対策実施計画に基づいた事業を着実に行うため、取崩しを行ったこと等により、令和2年度の基金残高は前年度と比べて約15億円減少している。子ども・親総合支援基金は、事業を着実に行うため、取崩しを行ったこと等により、令和2年度の基金残高は前年度と比べて約11億円減少している。(今後の方針)リニア関連名古屋駅周辺地区まちづくり基金は令和9年とされているリニア中央新幹線開業に向けたまちづくりの推進を着実に図るため、それまでの間に取崩し額の増加が見込まれる。アジア競技大会基金は、アジア競技大会の大会運営費など主催者負担経費を平準化するため、今後多額の積立てが見込まれ、2026年の開催に向け、全額を取り崩す予定である。各基金の設置目的に基づき、事業の進捗に応じて毎年度の予算編成において積立て及び取崩しの検討を行っていく。
本市の公共施設は、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の経過により有形固定資産減価償却率が高い状況となっている。そのため、現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めている。また、公共土木施設である道路及び橋りょうについても、計画的な点検に基づき補修等を実施することにより長寿命化を進めている。
債務償還比率は類似団体内で比較して平均的な数値となっている。今後も世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
将来負担比率及び有形固定資産減価償却率ともに、類似団体内平均と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある一方で、有形固定資産減価償却率は上昇傾向にある。これの主な要因としては、市設建築物については昭和40年代から60年代を中心に、公共土木施設(道路・橋りょう等)については昭和30年代から集中的に整備してきた結果、築年数の年数の経過によるものである。現在、市設建築物については、従来の築40年程度での改築から、建築物の構造体の耐久性に応じて築60年から80年程度へと長寿命化を進めており、必要な対策は実施できるよう努めていく。
将来負担比率及び実質公債費比率ともに、類似団体内平均値と比べ高い水準にある。将来負担比率については、地方債の償還が新規発行を上回ってきたこと等により減少傾向にある。また実質公債費比率については、義務教育教員等の給与負担の権限移譲に伴う財源措置等により、分母となる標準財政規模が増加したことに加え、分子となる地方債の元利償還金が減少したこと等により、減少傾向にある。予算編成にあたり作成している中期的な財政見通しでは、今後は地方債元利償還が増加すると見込んでいることから、世代間の負担の公平に配慮しつつ、将来世代に過度な負担を残さないよう、計画的な財政運営に努める。
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