地域において担っている役割
当院は、救急告示病院として、地域の急性期医療の一端を担い、また、療養病床を有し、併設老健・訪問看護ステーションと協働し、慢性期医療及び在宅復帰支援を行っている。へき地医療拠点病院の指定も受けており、急性期から慢性期、在宅復帰支援、へき地への医療提供と、ケアミックスの病院として、幅広い役割を地域において担っている。
経営の健全性・効率性について
当院の医業収支比率、病床稼働率は全国平均に比べ良好な状態にあるが、コロナウイルス感染症により下降の傾向を示している。また、全国平均に比べ経常収支比率は、低値となっているが、これはコロナウイルス感染症による損失補填のための補助金が特別利益として計上しており経常収益に反映されていない点、他公立病院に比べ市よりの運営費補助に依存せず経営を行っている点が影響していると考えられる。しかしながら、累積欠損金が生じていないため経営の健全性は保たれている。また効率性については材料費対医業収益比率が示すよう全国平均に比べ高値であるよう今後改善の余地があると考えられる。
老朽化の状況について
減価償却率が全国平均に比べ高い値を示しており、有形固定資産の老朽化が進んでいる状況である。資産個別に考えると建物については、平成16年度に新館建設・本館改修事業を行っており、当面の間建て替えの予定はないが、経過年数から考えると高寿命化を図るため随時大規模補修を行っていく必要がある。また、設備・医療機器等については、老朽化及び医療機器の進歩による陳腐化等を考慮し更新を行っていく。ただし、減価償却費及び資産減耗費が経常収支比率に及ぼす影響とキャッシュフローの状況を総合的に判断し、健全な経営が維持できるよう、計画的に更新を行っている。
全体総括
当院は、過去良好な経営を行ってきたことで累積欠損金がなく良好なキャッシュフローも保たれていることで企業体力がついているためコロナ感染症による経営へのダメージを乗り越えられると考えている。また、経営の効率化による改善の余地があるものの比較的安定的な経営を行っているため、計画的な設備投資を実施し今後も安定的に医療を提供できる体制を構築できている。しかしながら、コロナウイルス感染症により医療提供体制は激変しており、今後国等の動向を注視しつつ、時代に即した地域医療の提供を行っていく必要がある。