経営の健全性・効率性について
●収益的収支比率・企業債残高対事業規模比率収益的収支比率が約80%で推移しているのは、地方債償還費の負担に関して、関係市町村の財政状況を考慮した負担割合としているためである。地方債は平成20年に償還のピークを迎え今後も減少基調が続くとともに、建設改良事業に係る新規発行については、長寿命化計画や今後策定する経営戦略等に基づき計画的な発行に努めることから、収益的収支比率及び企業債残高対事業規模比率はともに改善していくものと考える。●汚水処理原価本県流域下水道は、地理的に急峻な地形に整備され、幹線管きょの延長も比較的長い一方で有収水量は大都市圏と比べ多くないことから、汚水処理原価は高くなる傾向にあるが、近年、主に資本費の減少に伴い低下基調にある。●施設利用率類似団体の平均値を下回っているが、近年は接続率の上昇等に伴い利用率は高まっている。また、平成23年の晴天時一日最大処理量による利用率は70%であり、処理水量の急激な増加にも対応した施設規模である。●水洗化率平成23年~平成27年までの現在処理区域内人口の上昇率は5.7ポイント、水洗化率の上昇率は6.2ポイントと上回っており、下水道使用者数は着実に増加している。幹線管渠の整備はほぼ完了しているため、引き続き関連市町村と連携し更なる向上に取り組んんでいく。
老朽化の状況について
●管渠改善率本県の流域下水道は古いもので昭和61年に供用開始しており、平成29年3月で31年が経過するが、管渠の耐用年数は50年であることから、現時点では修繕箇所は少なく健全な状態と考える。ただし、定期点検の中で整備地域の地理的状況等から経過年数に関わらず劣化が進んだ箇所も散見されるため、その都度修繕等を実施しており、H27年度は主に桂川流域における腐食対策工事を行い長寿命化を図ったところである。今後も引き続き定期点検を着実に行い老朽化の状況を把握するとともに必要な修繕や更新を行っていく。
全体総括
今後到来する施設・設備の大量更新期に適切に対応しつつ経営の健全化を一層図り、将来にわたり下水道サービスを持続的かつ安定的に提供していくため、収支の改善と施設の有効活用の観点から次の点に重点的に取り組んでいく。・関係市町村と連携し下水道加入率の向上に一層努め、有収水量を確保していく。・下水道の維持管理に関して、包括的民間委託契約を推進し経費の節減を図っていく。・平成32年4月からの地方公営企業法適用(財務規程)に向けた移行作業を確実に進める。