経営の健全性・効率性について
粟島浦村は、毎年度、収益的収支比率が100%を上回っているため、経営状況は安定的に健全な水準にあるといえる。地方債は、平成33年度で完済予定となっており、年々減少傾向にある。汚水処理原価は、ほぼ横ばいで推移しており、、類似団体平均を下回っている。粟島浦村では旅館等の個人事業主が多く、年間総有収水量が多いことが要因の一つと考えられる。経費回収率については、毎年度、100%を上回り、経営に必要な経費を料金で賄うことができている状況となっている。施設利用率については、類似団体平均と比較すると低い水準にある。これは、処理区域内人口が減少していることなどによるものであり、今後、汚水処理需要動向によって施設規模の見直しを含めた効率的な事業運営計画を検討する必要がある。水洗化率は100.0%と高く、投資の効率性が良く、使用料が収入されていることからも、効果的な経営が行われている要因の一つとなっている。
老朽化の状況について
2つの処理施設を抱えており、供用開始から30年以上経過している内浦地区の施設や釜谷地区排水処理場の施設については機能診断を行った上で計画的に整備を行っている。直近では、平成26年度に釜谷地区排水処理場の施設整備を行ったばかりである。
全体総括
粟島浦村は、現在処理区域内人口351人で、有収水量密度4.1千㎥/ha、供用開始後年数(31年)で、下水道事業経営指標における分類では、類型「Ec1」型に属する。また、下水道は、1漁業集落排水事業を経営し、水洗化率は100.0%である。現時点で経営の効率性、健全性は概ね確保されているといえる。しかしながら、少子・高齢化の進行や、節水意識の高まり、処理区域内人口の減少等により、排水処理料金収入が減少し、維持管理費が増加傾向にある中で、更なる経費節減に努めるとともに、各指標の傾向を十分に分析し、資産維持等の対策を講じる必要がある。特に、施設の老朽化に備え、処理場施設等の計画な更新を進め、健全な事業運営に努めていく必要がある。