経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、平成24年度まで90%台で推移し、⑤経費回収率は80%台で推移しており、いずれも100%に満たない状況で一般会計からの繰入金で賄っており赤字経営となっている。そのため、平成24年度に繰入金の赤字部分の削減を図るため、下水道使用料の改定を含め方策を検討したが、下水道使用料の改定は行わず、平成25年度から資本費平準化債を導入することとした。その効果により、平成25年度から下水道使用料で賄うべき汚水経費に係る繰入金の赤字部分は削減され経費回収率は100%に近い数値となったが、収益的収支比率は80%前後に下がり、全体の収支としては赤字経営で財源の確保が必要であることは変わっていない状況である。④企業債残高対事業規模比率は、類似団体及び平成27年度全国平均と比べて国立市は低い数値となっており、料金収入に対する企業債残高の割合は低い。⑥汚水処理原価は、類似団体及び平成27年度全国平均と比べて国立市は低い水準で汚水処理原価は安価と判断できる。なお、平成25年度からは資本費平準化債を導入したことから、さらに低い水準となっている。⑧水洗化率は、類似団体及び平成27年度全国平均と比べて国立市は高い水準となっているが、今後も水洗化促進の戸別訪問、啓発チラシの配布等普及活動を行っていく。
老朽化の状況について
国立市の公共下水道は、昭和45(1970)年から下水道事業に着手した管きょと事業着手以前(昭和36年~昭和44年)に布設した管きょを含めると、総管きょ延長は約187㎞になる。標準的な耐用年数は50年とされていて、すでに耐用年数を超えている管きょが出てきている。管きょの清掃及び調査は毎年行っているが、今後、早急に管きょの長寿命化計画を立て、計画的に更新・改築等を実施していく必要がある。
全体総括
今後について、建設改良事業は事業内容を検討し補助金等の制度を活用しながら企業債の発行額の圧縮に努め、資本費平準化債についても事業の執行状況を勘案しながらの発行額の圧縮に努めていくこととする。また、平成32年度までに、下水道会計の健全化、経営の効率化、経営内容の明確化及び透明性の向上を図るため、公営企業法の適用の推進に向けた事務を進めていく予定としている。老朽化対策としては、平成28年度にストックマネジメント実施方針の策定、平成30年度に下水道ストックマネジメント計画の策定を予定している。