経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率・・・前年よりも1ポイント上昇している。過去5年間で98%以上を保っているため、最低でもこの水準を保てるような取り組みが必要である。④企業債残高対事業規模比率・・・H27は平均値よりも高い値となっている。次項の経費回収率と併せ、同様の傾向が続く場合は使用料の値上げも検討せねばならない。⑤経費回収率・・・回収率は過去5年間で最低の値となっている。平均値よりも10ポイント以上の差があるため、更なる回収努力に取り組まねばならない。⑥汚水処理原価・・・平均値よりも数値は大きく上回っているが、し尿処理施設を広域圏に委託し、共同処理を行っているため、負担金等の比率が多くなっている。高額ではあるが、町の立地等の都合上、負担が大きくなるのはやむを得ない点である。⑦施設利用率・・・浄化槽の殆どが一般家庭に設置されているものであるため、安定して高い数値を示している。継続してこの値を保っていく必要があるが、今後の人口減少などの進行で空き家が増えた場合の措置を検討しておいた方がよい。⑧水洗化率・・・平均よりも20ポイント以上も低いため、更なる普及に向けた努力が必要である。現在は年間10基前後で合併処理浄化槽が設置されている傾向がある。県の浄化槽普及促進に向けた取り組みとも連携し、積極的な設置の呼びかけを行った上で、年間12~15基程度の設置を目指す。
老朽化の状況について
当町で合併処理浄化槽の普及促進事業が始まったのは平成8年のことである。設置から20年近く経つものも多く、今後修繕が必要となる箇所が増えていく可能性が高い。保守点検を通じて、設備機能の状態を把握すると共に、浄化槽の正しい使い方を定期的に町民に呼びかけていくなどし、長く使用してもらえるような取り組みを実施していく必要がある。
全体総括
単年度収支黒字を目指す上で、もう一歩改善が必要である。町の立地上、汚水処理の原価が高いことは必要経費と考えねばならないが、経費回収率が平均よりも10%以上低く、水洗化率も平均値よりも低い点は改善しなければならない。町民への積極的な浄化槽設置を呼びかけることは必要であり、水洗化率の向上及び経費削減に努めていく必要がある。しかしながら、過疎地域・高齢者の増加で浄化槽設置希望者が減少しているのも実情であり、企業債や経費回収率の点も踏まえると、今後の状況次第では使用料の値上げも検討する必要がある。