経営の健全性・効率性について
本市の農業集落排水施設は13処理区あり全て整備済みで、現在、建設中の施設及び新たな整備計画はありません。13処理区のうち、既に供用開始後10年以上経過した10処理区については、処理施設の長寿命化を図るための最適整備構想を策定中であり、策定後は計画に基づき、国の交付金を活用しながら順次改築等の更新を行うこととしており、施設、設備の老朽化等による更新費用が増嵩するなど、維持管理経費において今後も相応の費用が必要な状況です。経営指標については、平成29年度から分流式汚水資本費のうち使用料で回収できない分を分流式下水道等に要する経費に係る一般会計からの基準内繰入金として算定することとなったことから①収益的収支比率が増加、④企業債残高対事業規模比率が減少、⑤経費回収率が増加、⑥汚水処理原価が減少しました。また、加入促進等により⑧水洗化率が増加したものの、人口減少等の影響により⑦施設利用率はほぼ横ばいとなっています。使用料収入においては、水洗化率(加入率)の低い処理区があることや、人口減少に伴う料金収入の減少が懸念される状況です。
老朽化の状況について
山都地区の堰沢処理区が昭和60年度に供用開始し、それ以降12処理区を整備し、現在13処理区について供用開始しています。30年を経過した施設が1処理区、20年を経過した施設が3処理区、10年を経過した施設が7処理区あり、年数経過とともに、各処理区とも施設、設備の老朽化等による更新費用が増嵩してます。今後、10処理区において機能診断を実施し、最適整備構想で改築、更新計画を策定し、修繕と併せ、効率的な施設管理を図る予定である。管渠については、法定耐用年数である50年を経過している箇所はありません。なお、山都地区の堰沢処理区において昭和60年度に整備した箇所が最も古く32年を経過しています。
全体総括
本事業は住民の日常生活に欠くことのできない重要なサービスを提供する役割を果たしていますが、現在、経営環境は、サービスの提供に必要な施設等の老朽化に伴う更新投資の増大、人口減少に伴う料金収入の減少等により厳しさを増しつつあります。このような中、喜多方市の汚水処理事業においては、公衆衛生の向上と公共用水域の水質の保全により快適な生活環境の形成を図るため、公共下水道事業等を推進し、安定した下水道サービスの提供を将来にわたり継続していくために、農業集落排水施設機能診断の実施、最適整備構想の策定による投資の平準化、地方公営企業法の財務規定の適用など経営健全化に向けた取組を進める必要があります。