経営の健全性・効率性について
平成28年度は公営企業法適用に伴う打切決算により特例的支出・収入が発生している。そのため、料金収入や維持管理費等が関係する数値については、一部、前年度までの傾向がより顕著になる、または逆転している箇所がある。平成28年度「収益的収支比率」は大幅に上昇しているが、これは前述の打切決算の影響である。実態として、緩やかな上昇傾向となっている。現在の経営状況としては、使用料では維持管理費の6割程度しか賄えず、残りと公債費全額は一般会計繰入金に依存している。平成28年度「経費回収率」が大幅に増加し、「汚水処理原価」は大幅に下降しているが、これは前述の打切決算の影響である。実際は、「経費回収率」が微増し、「汚水処理原価」が微減している。平成23年度、25年度、27年度及び28年度は公債費の全てを一般会計繰入金に依存することになったため、資本費に係る汚水処理費がなくなったことにより「企業債残高対事業規模比率」は0(ゼロ)になるという特殊な傾向となっている。「施設利用率」は、平成26年度まで20%台と低い比率になっていたが、平成27年度に合併処理浄化槽の処理能力を実態に合うよう見直した結果、類似団体とほぼ同率になるまで上昇している。平成23年度から26年度までを見直し後の処理能力で算出したうえで各年度の「施設利用率」を比較すると、人口減少や世帯分離などにより、合併処理浄化槽1基当りの使用人数が年々減少しており、それに比例して施設の利用率についても下降傾向にある。
老朽化の状況について
公共下水道と農業集落排水の区域以外を対象に平成11年度から整備を行っており、古いものでは設置後17年が経過している。現在のところ、合併処理浄化槽については大きな不具合等は生じていないが、中山間地域の空家等の増加により、浄化槽の休止など稼働率が下降傾向にある。高齢化率が高く将来人口も大きく減少が予想される中で、今後はブロワや水中ポンプ等、施設の老朽化が進み、維持管理費等や更新需要がさらに増大していくことが考えられる。
全体総括
浄化槽整備に伴い、使用料の増加よりも維持管理費の増加の方が多くなる傾向がある。そのため、今後もさらなる費用の削減を図る必要性がある。しかしながら、使用料で賄えない維持管理費と公債費については他会計からの繰入金に依存しなければならない状況がさらに続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用しているため、固定資産等の数値を把握し、将来的な資本費を想定して事業を行っていくことが必要となってくる。経営健全化には水洗化率のさらなる向上は必須として、より適正な維持管理に努めていくことが必要と考える。