経営の健全性・効率性について
対象が柏谷沢地区で、平成27年度現在の処理区域内人口が14人と少なく、規模が小さい事業である。「収益的収支比率」は使用料の減少と、維持管理費の増加に伴い下降傾向にある。現在の経営状況としては、使用料では維持管理費の2割から3割程度しか賄えず、残りと公債費全額は一般会計繰入金に依存している。施設の老朽化等により維持管理費が増加傾向にあり、節水等により有収水量が減少しているため「汚水処理原価」が増加し、有収水量の減少に伴い使用料も減少するため「経費回収率」が下降している。平成27年度は維持管理費が減少したため、「収益的収支比率」と「経費回収率」がわずかに上昇し、「汚水処理原価」が若干減少している。当事業は事業規模が小さく、数万円の変動でも各比率等に顕著に表れる。「施設利用率」は20%台で、類似団体と比較して下回っており、施設能力に余裕がある状況となっている。要因としては、人口減少や高齢化により計画よりも汚水量が増加しないことが考えられる。
老朽化の状況について
平成9年度から10年度にかけて整備を行っているが、管渠については老朽化が進んでいるため、定期的に劣化状況の調査を行っていく必要がある。
全体総括
当事業は規模が小さいため、使用料のさらなる増加も見込めず、維持管理費の削減も大して見込めない事業であることから、今後も一般会計繰入金に依存しなければならない状況が続くと見込まれる。平成29年度から地方公営企業法を適用する予定であるが、事業単位ではなく下水道事業全体でのさらなる経営改善に努めるため、法適用企業として策定する経営戦略に、施設利用率の改善につながる戦略的要素をどれだけ盛り込んで行くことができるのかが重要になってくる。