地域において担っている役割
市内の基幹病院として市立田沢湖病院や市内4つの診療所と地域医療体制を確保し、救急医療、高度医療などの急性期医療、小児医療・周産期医療などの不採算部門に関わる医療を提供している。また、過疎地域の救急告示病院及び災害拠点病院として大仙・仙北二次医療圏の中核的な公立病院となっている。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は、常勤の脳神経外科医及び小児科医が不在となったことや、新型コロナの影響による病床利用率(前年度から10.5%減)の減少などマイナス要因が多く、医業収益が大幅に落ち込んだ。このことから、ほとんどの指数について前年度より悪化した。特に経常収支比率については、全国平均や類似病院平均値(以下、平均値という。)が前年度より改善傾向であるのに対し、当院は脳神経外科医不在の影響が大きく、前年度から6.1%減となった。なお、新型コロナによる収入減少分については、特別減収対策企業債を発行し補てんしている。こうした状況の中、患者1人1日当たり収益については、入院・外来ともに各種加算の新規取得や算定率の向上などにより、入院が前年度から942円の増、外来が前年度から581円の増となるなど改善している。しかし、これについても平均値と比較すれば下回っている。
老朽化の状況について
現在の病院は、平成29年2月に新病院が完成し(開院は4月)、有形固定資産減価償却率は全国平均・類似病院平均値(以下、平均値という。)の半分程度となっている。器械備品減価償却率については、平均値と同程度となっている。1床当たり有形固定資産は平均値を下回っており適切な投資額となっている。
全体総括
令和2年度は、令和元年度の外部経営コンサルタントによる指摘や助言、経営診断の結果を、経営改善に向けた取組として具体化し、それを実行することで、更なる診療単価の向上や職員一人ひとりの生産性の向上など、収益の確保に繋げる試みがなされる予定であった。しかし、新型コロナ入院患者の受入れによる病床機能転用の遅延、脳神経外科医の引き上げにより医業収益が落ち込み、経営状況は悪化した。一方プラス要因として、令和2年度に国が創設した特別交付税「不採算地区中核病院」に該当しており、この財政支援により経営が支えられた形となっている。