経営の健全性・効率性について
経常収支比率が悪化しているのは、下水道整備が進み固定資産の減価償却費が増加したためです。流動比率が悪化したのは、昨年度から一般会計繰入金が減少したことによるものです。経費回収率は100%となりましたが、これは統計上の計算によるものであり、実際は使用料でまかなえている状況にはありません。経常収支比率に表れているように決算は赤字となっており、毎年累積欠損金が増加している状況です。これは、本事業が依然未普及地域を多く抱える建設途上であり、多額の整備費用に対して下水道使用料収入が伴っていないためで、当面、大幅な改善は見込めない状況です。今後、令和7年度までに人口集中地区の整備による収益の増加を見込んでおり、さらに、下水道使用料の改定も含めて検討し、経営の健全化に取り組んでいきます。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は平成4年度の供用開始から26年を経過していますが、下水道事業資産の大部分を占める管渠(構築物)の法定耐用年数は50年とされていることから、今後直ちに大規模更新(修繕)工事が発生することはありません。また、法定耐用年数を経過した管渠が存在しないことから、管渠老朽化率は算定されておりませんが、一部、劣化の著しい管渠についての維持修繕等が発生しております。管渠以外の有形固定資産については、修繕計画に基づき定期的な維持管理を行うことで、費用の平準化を図っています。
全体総括
本市の公共下水道事業は依然投資段階にあることから、元利償還金などの資本費が高く、使用料収入が低い状況にあり、経営の健全性・効率性を示す各指標が類似団体の平均値に比べて悪い状況にあります。今後、令和7年度まで整備事業を拡大して未普及地域の解消を進めることとしており、その間、経常収支比率、累積欠損金比率等は使用料の増収によって改善していく見込みとなっています。企業債残高も平成30年度をピークに減少に転じる見込みとなっています。さらに、PPP/PFIといった民間的手法の導入により、未普及地域の早期解消と建設事業費の削減に向けた取り組みを検討し、健全性の確保に努めます。