経営の健全性・効率性について
農業集落排水事業は概成し、平成29年度から処理場の機能強化事業(長寿命化事業)を実施している。過去5年間の推移を見ると、①経常収支比率及び⑤経費回収率は依然として低水準にある。使用料収入のみでは費用を賄えず、一般会計繰入金に依存した状態が続いている。また、僅かながらではあるが、接続戸数の増加に伴い、⑧水洗化率は増加傾向にあるものの、⑦施設利用率は依然として低水準のままである。水洗化人口の増加に伴い汚水処理費(動力費、薬品費等)の増加も見込まれるが、市内全域において人口減少が進んでおり、今後においては施設利用率の低下が危惧される。このことから、今後における安定経営の検討が急務である。なお、使用料については、平成29年度から緩和措置を講じながら、段階的に令和3年度までの5年間で統一を図る。本事業は令和2年度から地方公営企業法を適用する。安定経営を継続していくため、令和2年度以降には財政シミュレーションを行いながら、適正水準による使用料収入の確保、管理手法の見直し等による汚水処理費の抑制を検討する。令和3年度には経営戦略(改訂版)を策定し、早い段階で検討結果を実行する。
老朽化の状況について
本事業は一部の処理区で供用開始から26年が経過しているが、現在においては管きょの更新が必要な段階ではない。③管きょ改善率は0%となっている。しかし、管きょにおける機械及び装置の修繕が発生している。機械及び装置について法定耐用年数が到来しているものもあり、今後において修繕費は更に増加することが見込まれる。一方、処理場については、平成29年度より、供用開始の早い地区から機能強化事業(長寿命化事業)に着手しており、計画的な修繕や更新を図っている。しかし、全ての処理場の長寿命化にはまだ時間を要する。処理場については、令和2年度に施設再編計画策定を実施する予定としている。機能強化事業の実施状況を踏まえながら、施設再編について検討する。
全体総括
一般会計で企業債償還金を負担していることから、④企業債残高対事業規模比率に当該団体値は表れていない。本事業は現在、処理場の機能強化事業を実施していることから、企業債残高については注視していく必要がある。使用料の改定中であるものの、使用料収入の低さが事業経営に影響を及ぼしており、依然として厳しい経営状況である。令和2年度の地方公営企業法適用後には、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の作成を通して経営状況が明確に表れる。安定経営と事業推進のバランスが求められることから、従来行ってきた管理手法等の見直し、使用料及び一般会計繰入金に関する検討が必要である。今後においては、1及び2で示した内容について着実に進めていく。