経営の健全性・効率性について
特定環境保全公共下水道事業は概成している。過去5年間の推移を見ると、①経常収支比率は増加傾向にあり、⑤経費回収率は年度ごとに変動しているが、いずれも依然として低水準にある。使用料収入のみでは費用を賄えず、一般会計繰入金に依存した状態が続いている傾向にある。また、⑧水洗化率は僅かながら増加傾向にあるものの、⑦施設利用率は依然として低水準のままである。本事業の処理区域は、市内でも特に人口減少が進んでいる地区であり、今後においては施設利用率の低下が危惧される。本事業は令和2年度から地方公営企業法を適用する。安定経営を継続していくため、令和2年度以降には財政シミュレーションを行いながら、適正水準による使用料収入の確保、管理手法の見直し等による汚水処理費の抑制を検討する。令和3年度には経営戦略(改訂版)を策定し、早い段階で検討結果を実行する。
老朽化の状況について
本事業は供用開始から13年が経過しているが、現在においてはまだ管きょの更新が必要な段階ではない。③管きょ改善率は0%となっている。しかし、平成30年度には処理場における機械及び装置の修繕が生じ始め、令和元年度は更に増加した。機械及び装置について法定耐用年数の到来が近づいていることから、今後において修繕費は更に増加することが見込まれる。機械及び装置や、やがて更新時期を迎える管きょ等の修繕への備えとして、アセットマネジメント(施設更新計画)の策定などを行い、施設の状況を勘案しながら、効率的な更新による更新費用の平準化・削減を図る必要がある。
全体総括
一般会計で企業債償還金を負担していることから、④企業債残高対事業規模比率に当該団体値は表れていない。本事業は概成していることから、企業債残高は年々減少し続けている。また、使用料収入の低さが事業経営に影響を及ぼしており、依然として厳しい経営状況である。令和2年度の地方公営企業法適用後には、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の作成を通して経営状況が明確に表れる。安定経営と事業推進のバランスが求められることから、従来行ってきた管理手法等の見直し、適正な使用料及び一般会計繰入金のあり方に関する検討が必要である。今後においては、1及び2で示した内容について着実に進めていく。