経営の健全性・効率性について
<平成29年4月~水道事業と簡易水道事業統合>平成30年4月から開始した施設運転管理等の包括的民間委託による行革効果等もあり、経常収支比率(①)は前年度比+3.1ポイントで黒字を維持した一方、料金回収率(⑤)が79.65%と低く、一般会計補助金(繰出基準内)等に依存している状況となっています。現在、累積欠損(②)は発生していませんが、今後、給水人口の減少等により、給水収益は減少傾向で推移していくことが予想されることから、経営の健全性を確保するための料金収入確保策の検討と一層の経営効率化が必要と考えられます。企業債残高対給水収益比率(④)は、若干の改善があるものの、全国平均や類似団体と比較すると非常に高い数値となっています。施設整備計画と併せ、適切な料金設定、企業債発行額を検討していく必要があります。給水原価(⑥)も類似団体等との比較で高額となっており、料金回収率(⑤)が低いことからも適切な料金設定が必要と考えられます。施設利用率(⑦)、有収率(⑧)は、類似団体等と比較して低い数値となっていることから、老朽管を計画的に更新しつつ、引き続き施設の統廃合やダウンサイジングの検討を進めていきます。
老朽化の状況について
高度経済成長期の急激な水需要の増加に対応するため、昭和30年代以降、拡張整備を行った施設が、順次法定耐用年数を超過すること、旧簡易水道事業で近年整備した施設の減価償却費が累積していくことなどから、現在は類似団体等より低い数値となっている有形固定資産減価償却率(①)や管路経年化率(②)についても、今後、数値が上昇していく見込みです。また、管路更新率(③)については、当市は管路延長(分母)が類似団体の中では最長であり、今後も同程度の数値で推移していくことが見込まれます。施設整備計画による老朽度、重要度を考慮し、耐震化工事と併せ、計画的に管路の更新を進めていきます。管路以外の老朽施設についても、今後、アセットマネジメントの精度を向上させ、計画的かつ着実に更新整備を進めていくこととしています。
全体総括
平成29年4月の水道事業と簡易水道事業の統合以降、業務の効率化、安定継続に向けた包括的民間委託や配水池更新時のダウンサイジングを進め、経常収支の黒字を維持していますが、一般会計補助金が収益的収入の約25.00%を占めていること、多額の企業債償還の影響もあり、現在の料金収入では更新費用を企業債に頼らざるを得ない状況であることなどから、近い将来、料金改定が必要になる見通しです。今後、さらなる施設の統廃合やダウンサイジングの検討、計画的な漏水調査と老朽管更新により、経費節減と有収率の向上に努めつつ料金改定の検討を進めていきます。また、アセットマネジメントによる中長期的な収支見通しを定期的に更新し、適時適切な料金を設定し、安定経営の継続に努めていきます。