北海道:工業用水道事業

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収集されたデータの年度

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経営比較分析表(2020年度)

経営の健全性・効率性について

現在運営している室蘭・苫小牧・石狩の3工水のうち、苫小牧工水では苫東工水の建設事業を中止、石狩工水では施設規模を縮小するなど、過大となった資産を平成18年度末に整理したことにより、多額の未処理欠損金が生じました。その後2回の経営健全化計画(平成18~26年度、平成27~令和元年度)の実施により、平成23年度には単年度黒字に転換しましたが、石狩工水単体では規模縮小後も契約率が低く料金収入のみでは収支均衡しない状況です。①経常収支比率:単年度黒字の継続により100%以上を維持していますが、契約率が20%台の石狩工水の影響により、類似団体平均値より低くなっています。②累積欠損金比率:一般会計補助金による資本剰余金処分や毎年度の純利益を欠損金補てんに充ててきたほか、令和元年度末に行った減資により生じた剰余金を処分して累積欠損金の解消が進み、前年度より70億円減の約5億円となったことから、比率が大幅に改善しました。③流動比率:流動資産である現金の増加により上昇傾向にありますが、流動負債の6割を占める企業債の低減が少なく、類似団体平均値より低い状況が続いています。④企業債残高対給水収益比率:平成30年度以降、室蘭及び苫小牧工水で老朽更新・耐震化のための大規模改修を実施しており、これに伴う借入により増加しています。以下指標については、令和2年度に室蘭工水・苫小牧工水で契約水量の減(合計約15,000㎥/日)があったことにより、前年までと比較して大きく変動しています。⑤料金回収率:室蘭・苫小牧工水は前年度よりそれぞれ20%程度低下したものの100%以上を維持しており堅調ですが、石狩工水は供給単価55円と高水準の一方で、減価償却費などの固定費が高く、契約率も低いことから料金回収率が約25%となっており、事業全体の数値が低下しました。⑥給水原価:石狩工水の給水原価は235円と前年より10円低下したものの依然として高水準であり、室蘭・苫小牧工水ではそれぞれ約16円に上昇したことから、類似団体平均を上回りました。⑦施設利用率:料金回収率が20%台の石狩工水で施設利用率が10%台とさらに低く、苫小牧工水も40%台であるため類似団体平均値との差が広がっています。需要開拓と施設のダウンサイジングやスペックダウンの検討を合わせて行う必要があります。⑧契約率:令和2年度の減量により苫小牧工水、室蘭工水で契約率が低下したため、類似団体平均より5ポイント低い水準です。石狩工水は用水多消費型の企業立地が少なく、現在は契約率が20%台に低迷しているものの、今後は再生可能エネルギー関連企業などの新規契約や増量を予定しており、上昇する見込みです。

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率:高度経済成長期に整備され50年前後が経過した室蘭と苫小牧工水は、長寿命化を図りながら計画的に管路や設備の更新を行っています。一方、石狩工水は開業から約20年であるため機械装置を中心に更新を行っています。その結果、現在の減価償却率は3工水とも50%台であり、類似団体平均値より低くなっています。②管路経年化率:室蘭工水は令和元年度までに一部区間の更新を終え、苫小牧工水は平成30年度より更新に着手していることから、前年度より4ポイント低下し類似団体平均を下回っています。また、今後も計画的に更新を進めることにより低下する見込みです。③管路更新率:上記のとおり順次更新を進めており、類似団体平均値を上回るペースとなっています。

全体総括

経営の健全性・効率性については、黒字の継続や減資により累積欠損金比率が大幅に改善した一方、契約水量の減少により料金回収率等の指標における類似団体平均との乖離が大きくなりました。特に石狩工水においては契約率が依然として低く、経営健全化計画の実施後も給水原価と料金水準のバランスがとれない状況が続いており、このことが経営に大きな影響を与えています。今後は再生可能エネルギー関連企業などへの新規給水が予定されているものの、さらなる給水契約の獲得や経費節減による経営改善、更新にあわせた施設規模の検討が必要です。一方、老朽化の状況については、3つの指標全てで類似団体平均より良好な状況となっています。管路については、室蘭・苫小牧工水では経年化が進んでいるため計画的に更新を進めている一方、石狩工水は開業から約20年であり、ほとんど経年化していません。その他の設備については、可能な限り長寿命化を図りながら適切な改修を行い、投資の効率化や平準化に取り組むとともに健全性を維持しています。

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